20歳の堀 ツアー最少ストローク記録21アンダーでV!

[ 2013年7月1日 06:00 ]

<アース・モンダミン・カップ最終日>優勝杯を手に笑顔の堀奈津佳

女子ゴルフツアー アース・モンダミン・カップ最終日

(6月30日 千葉県袖ケ浦市カメリアヒルズ・カントリークラブ=6516ヤード、パー72)
 2打差の単独首位から出た20歳の堀奈津佳(サマンサタバサ)が1イーグル、3バーディー、ノーボギーの67で回り、4日間大会(72ホール)の最少ストロークのツアー記録(17アンダー)を更新する通算21アンダーの好スコアで圧勝。3月のアクサ・レディース以来のツアー2勝目を飾った。4日間で60台で回って優勝もツアー初。14番パー5で会心のイーグルを奪い、全美貞(30=韓国)を突き放した。堀は賞金ランクも2位に浮上するなど、新時代の幕開けをアピールした。

 歓声が林にこだました。14番パー5。ピンまで68ヤードの第3打。堀は58度のウエッジを振り抜いた。ボールはグリーンエッジに着弾。10メートルほど転がってカップに沈んだ。2位の全美貞との差を8打に広げ優勝を決定的にする会心のイーグル。一瞬、浮かんだ驚きの表情はすぐに笑顔に変わった。

 「夢のようだった。まさか入るとは思っていなかった。凄く感触は良かったけど、ピンが見えなくて、ギャラリーの歓声で気がついた。(優勝に)行けると思った」

 昨年の賞金女王の全美貞を相手に貫禄のゴルフを見せた。1番で40センチのバーディーパットを外したが「チャンスは来る」と切り替えて2番で50度のウエッジで1メートルに付けてバーディー。7番も50度のウエッジで2メートルへ。18番も残り63ヤードから58度のウエッジで3メートルに乗せて、72ホールの最少ストローク新記録となる通算21アンダーに伸ばした。

 「何か記録を出したいと思っていたので、チャンスだと凄く意識していた」と狙い通りに新記録を樹立した。4日間大会で全ラウンドを60台で回るのもツアー競技では2人目の快挙。「毎日完璧なラウンドだった。本当に最高の1週間だった」とまた白い歯を見せた。

 同じ四国の愛媛県松山市出身の松山英樹に刺激を受けている。10歳でゴルフを始めて1年がたった小学5年生の時に初の試合として四国ジュニア選手権に出場。そこで同組になったのが1歳上の松山だった。「140くらいで回った」堀に対し「70台後半」の松山は優勝。その姿を見て「優勝するのっていいなぁとうらやましく思い、そこから練習量も増えてゴルフが好きになった」。今でも連絡を取り、初優勝の時にも祝福の言葉をくれた松山にまた良い報告ができそうだ。

 3月のアクサ・レディースでは初日に特別規則を誤認したままボールを処置したことが騒動に発展。すっきりしない優勝だったが、そのもやもやを記録的圧勝で払拭(ふっしょく)した。今季の獲得賞金は5816万円となり、賞金ランクは首位の森田の8878万円に次ぐ2位に浮上。07年の上田桃子(21歳156日)を更新する最年少女王の期待も膨らむなか「世界の大会に出たい気持ちはある。将来的に米国のツアーにも興味がある」とはっきりとした口調で夢を明かした。20歳の視線は、既に先輩たちが奮闘する海外に向けられている。

 ◆堀 奈津佳(ほり・なつか)1992年(平4)7月6日、徳島市生まれの20歳。父・恭士さん(51)の勧めで10歳の時にゴルフを始める。中学2年の冬に江連忠ゴルフアカデミーに入門。香川・藤井学園寒川高時代はナショナルメンバー。兵庫・滝川二高に通う妹・琴音さん(17)は今年の日本アマ出場。1メートル59、50キロ。血液型はA。

 ▼江連忠コーチ 本人に4日間大会で勝つ者が一番強いと言ったら、じゃあ4日間で勝ちますと言ってきた。ティーアップした球を打つのは非常にうまい。パット、アプローチはまだまだだけど、何とか気持ちで頑張っていくタイプ。性格は素直で謙虚。特にパットは謙虚に練習する者が強くなる。

 【堀記録アラカルト】
 ☆72ホール最少ストローク 堀のマークした21アンダー、267は、02年ニチレイ杯ワールドレディースの不動裕理、12年サントリー・レディースの金(キム)孝(ヒョー)周(ジュ)の17アンダー、271(いずれもパー72)を抜いてツアー新記録。ちなみに3日間大会(54ホール)では03年ミズノクラシックでA・ソレンスタムが出した24アンダー、192(パー72)が最少記録。

 ☆4日間とも60台 4日間大会のツアー競技で全4ラウンドを60台で回ったのは05年大場美智恵(2位)に次いで堀が史上2人目。後援競技では99年オーストラリアン・レディース・マスターズのK・ウェブ(優勝)が記録している。

続きを表示

この記事のフォト

2013年7月1日のニュース