蒼国来 長期ブランクの不安一掃!出稽古まずまず

[ 2013年6月27日 06:00 ]

出稽古で調整する蒼国来

 大相撲の八百長裁判で解雇無効判決を勝ち取り名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)で約2年半ぶりに土俵復帰する西前頭15枚目の蒼国来(29=荒汐部屋)が長期ブランクの不安を一掃した。26日、愛知県犬山市の時津風部屋に出向いて関取衆と稽古し14番取って5勝9敗。実力者の幕内・豊ノ島(30=時津風部屋)にはかなわなかったが、土俵際で粘る相撲など本来の動きを取り戻した。

 稽古とはいえ、勝利の味は格別のものだった。いきなり連敗したが、3番目の申し合いで格上の時天空を一気に押し出すと、蒼国来は少しだけはにかんだ。体重は135キロ。夏場所前の計測から2キロ減ったが、低くもぐりこんでからの攻めで必死に抵抗。一方的に土俵外に押し出される場面もあったが、土俵際で粘っての逆転や左前まわしを取って攻める相撲などらしさも随所に披露した。三役の常連、豊ノ島には4戦全敗だったが、自身より番付の低い十両・双大竜に2勝3敗。小結の時天空には3勝2敗と勝ち越した。

 それでも約2カ月ぶりの関取との稽古で汗を流した蒼国来は「まだまだですね。関取衆は重い」と納得していない様子だ。レスリング出身で入門当時から相撲独特の立ち合いに苦しんでいたが、約2年のブランクで苦手意識は増した。「(立ち合いも)頭から行っていなかった。途中から行ったが、もう少し思い切りやりたい。番数ももっと(20番以上)増やしたい」と厳しく自己評価した。

 02年秋場所では、横綱・貴乃花(現貴乃花親方、本紙評論家)が7場所連続の全休から復帰したが、12勝だった。同じ地位からの再起は必ずしも有利ではないが、豊ノ島は「力がむちゃくちゃ落ちている感じでもない。体も落ちてはない」と分析。時天空も「彼は四つ相撲だからまわしが取れれば何とかなるでしょ」とエールを送った。本番まではあと10日。今後も時津風部屋での稽古を続けるが、係争中に応援してくれた関係者の期待は背中に感じている。「もっと(状態を)上げていかないといけない」。相撲史に残る長期ブランク復帰を成功させるため、プライドをかなぐり捨てて泥まみれになる。

 ▽蒼国来の八百長訴訟 11年2月に発覚した八百長問題で、当時幕内だった蒼国来は一連の八百長の仲介役だった元幕下・恵那司と元竹縄親方(元幕内・春日錦)の供述に基づき、10年夏場所の春日錦戦が八百長だったと特別調査委員会から認定された。

 11年4月11日に日本相撲協会から引退勧告を受け、2日後の期限までに引退届を提出せず、同14日に解雇処分となった。しかし、6月18日に協会に力士としての地位確認及び給与の支払いを求める訴訟を起こした。13年3月25日、東京地裁は「証拠不十分」として解雇は無効と判断し、幕内力士としての地位を認めた。同4月3日に協会は控訴を断念し、解雇前と同じ地位の西前頭15枚目での復帰が決定。

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