白鵬 モンゴル相撲出る!?“二刀流”に協会困惑

[ 2013年6月11日 06:00 ]

朝稽古後、来客者の応対をする白鵬(左)

 大相撲の横綱・白鵬(28=宮城野部屋)が10日、異例の二刀流挑戦を熱望した。26度目の優勝が懸かる名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)に向け本格的な調整を始めた朝稽古後に、母国で7月26、27日に開催されるモンゴル相撲の大会に出場する意向を示した。大相撲の現役力士による他競技との掛け持ちは前例なし。日本相撲協会の対応が注目される。

 朝稽古を終えると、白鵬は仰天プランを語りだした。「モンゴル相撲をやったんだ。向こうの小結と。やっぱり全然違う。まわしの切り方とか」。4日から8日まで里帰りしていた白鵬は、現地でモンゴル相撲の稽古に参加した。日本では全勝優勝10度など確固たる地位を築く最強横綱も、相手を圧倒することはできなかったという。元来、負けず嫌いの28歳。「7月26、27日にオヤジ(父・ムンフバトさん)の出身地トゥブ県で大会があるので出ようかな」と打ち明けた。

 ムンフバトさん(72)は全国大会ナーダムで5連覇を果たしたモンゴル相撲の大横綱。レスリングでも68年メキシコ五輪フリースタイル87キロ級でモンゴル人史上初の銀メダルを獲得した国民的英雄だ。全国大会は参加者512人で開催されるが、白鵬が出場を希望する県大会は、その半分の256人による勝ち抜き戦。「大会直前にトゥブ県の選手がやる合宿にも呼ばれている」と、しっかり稽古を積んでから臨むつもりであることを明かした。

 しかし、日本相撲協会の八角広報部長(元横綱・北勝海)も「何も聞いていないので、こちらとしては答えようがない」と困惑気味。県大会レベルであっさり負けると大相撲の横綱の威厳は保てない。ましてやケガでもすれば、本業に支障を来してしまう。横綱は「勝ち負けは別として出ること。(知人からも)“横綱はチャレンジする気持ちがあるからまだまだ伸びる”と言われたしね」と本気モードだが、あの朝青龍でさえも挑戦しなかった二刀流は協会内でも波紋を呼びそうだ。

  ▽モンゴル相撲 「ブフ」と呼ばれ、土俵はなく、草原などで行われる。両足と手のひら以外が先に地面に着いたら負け。競馬、弓射とともにモンゴル国内で男の三種武芸の一つとして知られ、17世紀中頃にスポーツとして制度化された。1924年以降は国家ナーダム(祭典)として毎年7月11、12日に全国大会が行われる。最高位はダルハン・アヴァラガ(聖なる横綱=ナーダムで優勝5回)。現在は賞金制度としてのブフ・リーグなどが発足し、プロスポーツ化が進みつつある。

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2013年6月11日のニュース