全柔連助成金問題“クロ”判定で上村会長が辞意

[ 2013年4月27日 06:00 ]

会見で辞意を表明した上村春樹会長

 全日本柔道連盟(全柔連)の助成金問題で、全柔連から調査を依頼された第三者委員会が26日、東京都文京区の講道館で中間報告を行った。日本スポーツ振興センター(JSC)からの助成金の一部徴収について組織ぐるみと認定。これを受けて全柔連の上村春樹会長(62)は、改革への道筋をつけた上での辞任を示唆。これまで一連の不祥事を自らの進退とは関連づけてこなかったものの、ついに組織のトップとして責任を取る覚悟を固めた。

 第三者委員会の報告を受けて開かれた会見。上村会長は冒頭で「中間報告を精査して近いうちに進退を明らかにしたい」と切り出した。暴力指導が大問題になっても粘り腰でしのいできたが、ついに進退が窮まった。「辞任の意思か?」と問われると、「そう受け取ってもらっていい」と表情を変えることなく答えた。

 3月26日に発足した第三者委員会が調査したのは主に2点。助成金を受け取った指導者に活動実態があったか。またその助成金から全柔連が年間最大40万円を徴収してプールしていた「強化留保金」は助成金の使途として正しかったかどうか。

 活動実態については、直接的な技術指導でなくとも、マネジメントスタッフなど多様な形態を幅広く認めた。JSCに資料の残る直近5年間72人の受給者について、シロかクロかの判定を最終報告でまとめるという。

 一方で食事代などに費やしたと推測される強化留保金については「社会通念に照らして明らかに不適切」と助成金の目的から外れたシステムと断罪した。全柔連事務局から受給者に督促があったこと、留保金の預金通帳が事務局の金庫に保管されていたことなどから、強制力を持った組織ぐるみの行為と認定。管理権限があった歴代の強化委員長として上村会長と吉村前強化担当理事を挙げた。帳簿の記載や領収書の整理も行われていないずさんな管理の実態も報告した。

 上村会長は「互助会的に好意で始まった仕組みと聞いているが、不適切だというなら受け止めないといけない」と認めた。全柔連が組織として順法精神を欠いていたと指摘されては会長としては抗しきれなかった。

 最終報告までにはまだ1カ月以上かかる見込みながら、「今進めている改革をどう実行に移すか。自分としてはきちんと道筋をつけたいし、やるべきことがある。辞任するとなれば6月の定例理事会になる」と会長職を辞す時期を示唆。不祥事が噴出した全柔連は、新たな会長とともに出直しを図ることになる。

 ≪JOC側にも管理徹底要求≫第三者委員会の中間報告で日本オリンピック委員会(JOC)も全柔連の活動報告書の不備を放置したと不手際を指摘された。市原則之専務理事は「JOCも反省すべき点はあると思う」と話した。全柔連内での助成金の認識が徹底していなかったとし、JOCとして、「チェックシステムを働かせないといけない。JSCと協議して仕組みをチェックする体制をつくらないと」と連携を強める意向を示した。

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2013年4月27日のニュース