蒼国来に北の湖理事長謝罪「2年間つらい思いをさせた」

[ 2013年4月4日 06:00 ]

まげを結って会見に臨んだ蒼国来

 日本相撲協会は3日、両国国技館で臨時理事会を開き、2年前に八百長問題で解雇した幕内・蒼国来(29)=本名・恩和図布新、中国出身=を荒汐部屋所属力士として現役復帰させることを満場一致で決定した。3月25日に東京地裁から「解雇無効」の判決を受けたが、逆転できる見込みがないため控訴を断念。北の湖理事長(元横綱)は蒼国来に謝罪し、体調面などを考慮し、名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)から西前頭15枚目で復帰することで合意した。

 解雇を宣告されてから720日。蒼国来に待ちに待った春が到来した。午後5時から都内のホテルで行われた会見は、師匠の荒汐親方(元小結・大豊)、勝訴に導いた弁護団も同席。鮮やかな水色の着物を着て、ちょんまげ姿の29歳は「物凄く感動しました。自分が大好きな相撲の世界で、もう一度取れるのはうれしく思う。幸せ」と晴れ晴れとした表情を見せた。

 蒼国来はこの日、師匠とともに午後1時42分に両国国技館を訪れ、北の湖理事長から「この2年間つらい思いをさせた。申し訳ない」と謝罪を受けた。そして解雇を取り消すとともに、八百長問題後に番付に代わって11年2月に発表された「順席」と同じ西前頭15枚目の地位で現役復帰を認めることを伝えられた。

 復帰の時期は3カ月後の名古屋場所で合意した。当初、相撲協会は夏場所(5月12日初日、両国国技館)から「幕内最下位格付け出し」での復帰を検討したが、蒼国来側と話し合った結果、2年のブランクがある中でいきなり幕内力士と対戦するという体調面のハンデなどを考慮して1場所見送ることを決定。北の湖理事長は「急に取れと言っても無理。余裕を持たせるということでは7月が妥当」と説明した。

 完全勝訴となった蒼国来は会見で「あした(4日)から(関取が使用できる)白まわしをつけて稽古したい。自分のできるところまで頑張りたい」と宣言。ひたすら弟子を信じ続けた師匠も涙ぐみ、「自分の信念を貫いてよく頑張った。誠実で格好いい人間」と言葉を詰まらせた。公式行事への復帰は、27日に両国国技館で行われる横綱審議委員会による稽古総見。2年のブランクは決して楽ではないが、異例の復帰を果たした男の表情は希望に満ちあふれていた。

 ◆蒼国来 栄吉(そうこくらい・えいきち=本名・恩和図布新)1984年1月9日、中国・内モンゴル自治区生まれの29歳。荒汐部屋に入門し、03年秋場所で初土俵。10年初場所新十両。同年秋場所新入幕。最高位は東前頭13枚目。11年4月に八百長関与を認定されて引退勧告を受け、拒否したため解雇されていた。得意は右四つ、投げ。解雇時の体格は1メートル86、134キロ。

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