白鵬、独走V 大鵬さんのひつぎの“重さ”胸に刻み…

[ 2013年3月23日 06:00 ]

豪栄道(右)を上手投げで退け、24回目の優勝を決めた白鵬

大相撲春場所13日目

(3月22日 ボディメーカーコロシアム)
 横綱・白鵬が関脇・豪栄道を上手投げで退けて13戦全勝とし、ただ一人2敗だった隠岐の海が敗れたため、千秋楽を待たずに、2場所ぶり24度目の優勝を決めた。優勝回数は北の湖に並ぶ史上4位。13日目Vは、15日制定着以降で千代の富士に並ぶ4度目(歴代1位)となった。尊敬する元横綱・大鵬の納谷幸喜さん(享年72)が1月に亡くなってから初の賜杯。心を鍛え抜いて優勝をつかみ、角界のオヤジと慕った大横綱に、恩返しを果たした。
【取組結果】

 まるでコマを回すかのように豪栄道を転がした白鵬は、土俵上で満足そうに表情を引き締めた。荒れる春場所を完全否定する13日目V。2敗の隠岐の海の敗戦を見守ってから臨んだこの日も「豪快に決めたい気持ちがあった」と、気負うことはなかった。18本の懸賞(手取り54万円)を納得の表情で受け取って花道を引き揚げると、NHKのインタビューで「最高です!」。侍ジャパンの主将・阿部慎之助(巨人)で有名な喜びのセリフを“どや顔”で言い残し、24度目の優勝の味をかみしめた。

 「誰もが夢見る32回という大鵬さんが残したもの。それに近づくことが大鵬さんへの恩返しになるのかな」。支度部屋では大鵬さんが亡くなってから初の賜杯に思いを募らせた。初場所後の告別式では先頭に立ってひつぎを持ったが「汗をかくほど重かった」。最後まで“ちゃんと稽古をしろよ”というメッセージを自分に伝えたのだと感じた。場所前は九重、春日野、時津風の3部屋に出稽古。「場所前の稽古が大変良かった」と振り返った。

 28歳の誕生日を迎えた2日目には「精神年齢は(28より)だいぶいって(上回って)いる」と話した。心を鍛えるためには努力をいとわない。知人に紹介され、11年暮れに日本航空の経営再建を主導した稲盛和夫名誉会長が主催する経営塾「盛和塾」に自費を払って入塾、昨年末の都内で行われた会合に出席。「心を高めることが経営を伸ばす」と語る稲盛氏の言葉に感銘を受けた横綱は、何度も録音CDや著書を読んで心を鍛えた。「一つ一つ積み重ねていくだけ」。目指すは双葉山、大鵬を超える、9度目の全勝優勝。早すぎる優勝にも、おごることなく表情ひとつ変えなかった姿に、新たな白鵬像が浮かび上がってきた。

 ▼北の湖理事長(元横綱) 白鵬には相手の体を吸い寄せる柔軟性があり、それが安定感を生んでいる。(優勝回数で)追いつかれたとは思わない。白鵬はその先を見ているだろうし、日馬富士が追いついてこなければ、優勝30回の大台に乗せるチャンスは大だ。

 ▼鏡山審判部長(元関脇・多賀竜) (13日目での優勝決定は)仕方がない。追っている相手が相手。(白鵬は)凄い。大したもの。周りが崩れるのが早いから、気分的にも楽だったんじゃないか。今場所は(全勝で)いくんじゃないか。

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