告発サポートの山口香氏 強化委員入りへ 塚田真希氏ら3コーチで人事一心

[ 2013年3月22日 08:08 ]

強化委員入りが有力な山口香氏

 全日本柔道連盟(全柔連)の新しい女子強化委員に、15選手による暴力・パワハラ告発をサポートした山口香氏(48)が就任する見込みであることが21日、明らかになった。

 また、代表コーチには現在英国留学中の塚田真希(31)、ロンドン五輪78キロ超級銀メダリストの杉本美香(28)、同48キロ級代表の福見友子(27)の3氏が入閣することも判明。今月からフランスに留学する谷本歩実氏(31)の特別コーチ就任も決まっており、女性中心の体制づくりで、柔道界に新風を送り込む考えだ。

 柔道女子の新しい強化体制は、15選手の告発に最大限配慮したものだった。全日本学生柔道連盟の推薦を受け強化委員就任が濃厚となった山口氏は、15選手の告発そのものをサポートしたことを公言している人物。強化委員は強化委員会で強化方針などを決定するだけでなく、選手選考の最終決定にも参加できる立場で、その影響力は小さくない。

 さらに、現場のコーチは現役選手に極めて近い立場の塚田、杉本、福見の3氏が加入する。現在、現場の階級担当コーチは5人。さらに追加される可能性はあるが、今のところ、半数以上が女性コーチとなる。3氏とも選手の指導経験はほとんどないが、そろって五輪、世界選手権で世界の頂点に立った経験を持つ。年齢も現役選手に近く、心情などは最も理解できる人物でもある。

 かつてない逆風の中で、斉藤仁強化委員長、増地千代里強化副委員長兼女子強化部長、南條充寿監督の3氏が話し合い、導き出した結論が、人事の一新だった。斉藤強化委員長は、ルール変更が試行された2月以降の欧州遠征に帯同した田辺勝監督代行に監督就任を打診するなど、一時は継続的な強化を重視。しかし、全柔連の第三者委員会や日本オリンピック委員会(JOC)の提言は「女性指導者の育成、起用」に踏み込んでおり、これに従った形だ。

 この日、南條監督の所属する仙台大にあいさつを行った斉藤強化委員長は、個人名は挙げなかったものの、新強化体制について「今、女子の強化に必要なものは何なのか考えた末のプラン。(告発した)15人の選手の方々の気持ちは何なのかも考慮した」と明言した。山口氏の強化委員就任は26日に行われる臨時理事会で承認される見込み。英国留学中で8月に帰国予定の塚田氏を除くコーチ陣は、25日から都内で始まる強化合宿が初仕事。旧態依然と批判されてきた柔道界にどんな風を吹き込むのか、注目される。

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