4月に新体制 柔道女子代表初の女性監督も「適任者いれば」

[ 2013年2月6日 06:00 ]

会見を終え退席する全柔連・上村会長(右)。左は小野沢専務理事

 全日本柔道連盟の強化のトップに立つ吉村和郎・強化担当理事(61)が5日、15選手によるパワーハラスメントなどの告発を受けたことの責任を取り、辞任した。また、園田隆二前監督(39)とともに暴力行為が認定されていた徳野和彦コーチ(38)も欧州遠征から緊急帰国し、辞表を提出。この日、東京都文京区の講道館で開かれた臨時理事会では3人の辞任を承認し、再発防止策や今後の組織改革を検討。現在は不在の女性理事の登用や女性監督の起用の可能性にも言及した。

 15選手の代理人が「園田監督の辞任で終わりではない」と訴えた会見から一夜明け、全柔連の強化トップの吉村強化担当理事が辞任に追い込まれた。臨時理事会では、26人中22人の理事が吉村強化担当理事以下3人の強化スタッフの辞任を承認した。

 その後、今後の対応策や改革案について約2時間にわたって協議が行われた。今回のハラスメントについての外部有識者による調査委員会を設置するため、準備委員会を立ち上げることを決定。強化委員会の中につくった強化選手支援ステーションの拡充、選手がハラスメントなどを通報できる弁護士らとのホットラインの開設も検討された。この日、自民党のスポーツ立国調査会でも取り上げられた女性理事の不在についても話し合われ、上村会長は「女子柔道の歴史が浅かっただけで、不在だった理由は特にない」として、今後の課題とすることになった。

 強化担当理事、監督、コーチと3人のスタッフを失った強化体制については、通常なら強化委員会で決める事項だが、今回に限っては3月18日の理事会決定事項とし、4月1日に始動する方針も決定。上村会長は「適任者がいれば女性でもいい」と初の女性監督登用の可能性にまで言及した。

 ただし、今年の世界選手権(8月27日開幕、リオデジャネイロ)の代表選考の材料となる欧州遠征はこの日、本格的に始動。遠征に帯同しているコーチ以外を選任すれば、現場に不満が生まれる可能性もある。3月末に予定されていた強化合宿も中止となる可能性が高まっており、強化が立ち遅れることにもなりかねない。15選手による要求に最大限配慮した形の改革案が、どう受け止められるのかは予断を許さない。

続きを表示

2013年2月6日のニュース