柔道暴力問題 全柔連理事、コーチ辞任、調査委設置で組織改革へ

[ 2013年2月5日 18:51 ]

柔道暴力問題で辞任が決まり、記者会見で頭を下げる全日本柔道連盟の吉村和郎強化担当理事

 柔道女子日本代表の園田隆二前監督(39)が選手15人から暴力行為などを告発された問題で5日、全日本柔道連盟(全柔連)の吉村和郎強化担当理事(61)と暴力行為を認めた徳野和彦コーチ(38)が引責辞任した。自民党では再発防止に向けた第三者機関の設置を可能にする関連法改正案の今月中の国会提出を目指す動きが出た。

 下村博文文部科学相は「日本のスポーツ史上最大の危機」として暴力の根絶を呼び掛けるメッセージを発表。柔道女子トップ選手による訴えは、日本のお家芸の強化責任者を辞任に追い込み、国会や国政に波及する異例の展開となった。

 全柔連は東京都文京区で臨時理事会を開き、外部有識者による調査委員会を設置してこの問題を調べることを決定。調査委の人選は、準備委員会が3月の理事会までに進める。女子選手の相談窓口となる「支援ステーション」も設ける。

 全柔連の上村春樹会長は辞任を否定した上で、組織改革に意欲を示し、現在は一人もいない女性理事の登用を視野に入れ、将来の女性代表監督にも「この人なら大丈夫だという人がいれば、やっていただきたい」と前向きな姿勢を示した。

 第三者機関は暴力問題の実態調査や是正勧告をする。日本スポーツ振興センター法を改正し、サッカーくじなどを運営する同センターに設置する方針だ。自民党スポーツ立国調査会の遠藤利明会長によると、2020年夏季五輪招致を目指す東京を国際オリンピック委員会(IOC)が3月に現地調査に訪れる前に、超党派のスポーツ議員連盟で法案提出を目指す。

 民主党も文部科学部門会議でこの問題を検討し、林久美子座長は法改正について「スポーツは過去にも超党派でやってきた歴史がある。うまく進むと思う」と話した。

 吉村氏は強化委員長だった08年11月、園田氏を女子代表監督に任命し、惨敗したロンドン五輪後に新設の強化担当理事に就任した。記者会見で「私の監督不行き届き。強化の最高責任者が辞任するのが順当だと考えた」と説明した。暴力行為は「私は一回も見ていない。そういうことがあれば何かの措置を取ったと思う」と述べた。

 園田体制で女子軽量級を指導した徳野氏は、会見で「園田監督が辞任したので、私も一緒に辞任するべきだと思った」と話した。

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