沙羅 中断、1回勝負…気まぐれな風に今季最悪12位

[ 2013年2月3日 06:00 ]

リフトでスタート地点に向かう途中、観客席の「頑張って」コールに笑顔で応える高梨沙羅

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子札幌大会第1日

(2月2日 札幌市宮の森=HS100メートル、K点90メートル)
 W杯総合首位に立つ高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)がまさかの今季自己ワースト順位に沈んだ。気まぐれな風に翻ろうされ、85メートルの99・1点で12位。強風で何度も競技が中断した末に1回で打ち切りとなり、地元北海道で初開催のW杯は悔しい結果に終わった。コリーヌ・マテル(17=フランス)が93メートルの120・2点で今季2勝目。3日に個人第10戦が行われる。

 宮の森の風はどこまでも高梨に冷たかった。1回目で大きく出遅れ、巻き返したかった2本目は強風で中止。大会関係者が「長野五輪の前後以来じゃないか」と驚いた。約3500人の観衆が集まったが、高梨は地元の期待に応えられず「申し訳ない気持ちでいっぱい」と肩を落とした。

 朝から不穏な風が吹いていた。強風のために試技が途中で中止となり、練習なしで本番に臨んだ。競技は何度も中断され、スタートゲートも上げ下げされた。しかも、序盤に強く吹きつけた向かい風は、W杯総合上位選手が出てくる終盤には収まってしまった。

 高梨は41選手の最後にスタート。十分な浮力を得られずにK点前でパタリと落ちると、大歓声はため息に変わった。ウインドファクターは向かい風を示す「マイナス7・9」。それだけに高梨は「何が起こったか分からない感じだった」と失速に首をひねった。渡瀬弥太郎ヘッドコーチは「数字は向かい風でも、ジャンプ台の上の方はあんまり吹いてなかったと言っていた。ついてない」と恨めしそうだった。

 開始時の気温は7・1度。2月の札幌(平均気温氷点下3・1度)としては異常ともいえる暖かさも影響した。宮の森には助走路に冷却装置が埋め込まれていない。気温が高いと氷が湿り、後半の選手ほどスピードが出にくくなる。高梨は「アプローチで重たい感じがあった。滑っていて難しかった」と今後の課題に挙げた。

 難コンディションによる波乱の展開。ただし、優勝したマテルは高梨の2番前に飛んでいて、条件にそこまでの差はなかった。今季4勝を挙げて総合首位に立つとはいえ、高梨は発展途上。「難しい条件でも自分のジャンプができるように。あしたはリベンジしたい」と逆襲を誓った。

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