園田監督更迭も 続投発表から一転、全柔連ドタバタ

[ 2013年1月31日 06:00 ]

会見の席を立つ全日本柔道連盟の上村会長(左)

 ロンドン五輪柔道女子代表の園田隆二監督(39)ら指導者が五輪代表選手ら15人にパワーハラスメントを告発された問題で、全日本柔道連盟(全柔連)は30日に会見。事実を認めたうえで監督らを書面による戒告処分とし今後も続投させることを発表した。しかし、昨年末には日本オリンピック委員会(JOC)に指導陣の一掃を求めるメールも同じ15人の連名で届いていたことも新たに発覚。全柔連の上村春樹会長(61)は選手の聴取に前向きな姿勢を示し、内容によっては指導陣を更迭する可能性も示唆した。

 異例の集団告発が明らかになって一夜明け、柔道の総本山となる東京都文京区の講道館で午後4時から会見した全柔連の上村会長は「大変お騒がせ、またご心配をお掛けしてすいません」と謝罪した。今回の園田監督の暴力行為と認定された指導についても「柔道の究極の目的は人づくり。己を完成させるために、あってはならないこと」と事実の重大性について言及した。

 全柔連の小野沢専務理事は「指導に対する情熱が一線を越えた。あってはならないこと」とする一方で「本人は深く反省しており、再発はないと誓っているし、それを信じたい」としリオデジャネイロ五輪までの強化体制は変えないことも明らかにした。

 しかし、午後3時30分に行われたJOCの会見では、12月25日に同じ15人の連名で、嘆願書がメールで届いたことが明らかになった。JOCは今月、独自に一部選手と面談。平事務局長はパワハラの例として「死ね」などの暴言を挙げた。

 事態を重く見た上村会長は要望書を提出した15選手の中で希望者には、全柔連が聞き取り調査を実施することを明言。戒告処分止まりで、続投とされた強化体制についても「聞き取り調査の中で新たな事実が解明されれば(指導者に対する処分が変わる)可能性がある」とし、場合によっては園田体制を一新することも辞さない考えを示した。

 園田監督は来月5日、選手らとともにグランドスラム・パリ大会に向けて出発する計画。現在のところ予定通りだが、上村会長は「今のままで行くにしても、あるいは(監督を)代えるとしても、きちんと(聴取の)結果をみなければ。真の解決はみていないと思っている」とし、早期の調査実施を明言した。連盟内で一度は決定した「処分」を白紙に戻しかねないトップ発言。リオデジャネイロ五輪に向けて再出発したはずの柔道界の混乱は、まだ続く。

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