日馬富士 総見で白鵬と互角、連続1桁なら横審「激励」措置も

[ 2013年1月8日 06:00 ]

稽古総見で熱の入った三番稽古をする日馬富士(左)と白鵬

 大相撲初場所(13日初日、東京・両国国技館)を前にした横綱審議委員(横審)による稽古総見が7日、国技館内の相撲教習所で行われた。横綱同士の稽古が実現し、横綱・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)は白鵬(27=宮城野部屋)と5勝5敗。しかし、九州場所で9勝6敗に終わったこともあり、鶴田卓彦横審委員長(85=元日本経済新聞社社長)は再び1桁勝利の場合は「激励」など横審として措置を講じることを示唆した。

 稽古場では綱のメンツを保っても、信頼回復までには至らなかった。横審の前で横綱同士の申し合いが行われたのは、3年ぶり。横綱として初参加の日馬富士は白鵬との三番稽古(同じ相手と連続で行う稽古)で必死に食らいついた。いきなり2連勝で相手を本気にさせたが、その後4連敗を喫しながらも10番取って5勝5敗。懐に入ってまわしを取り、一気に寄って出るなど、持ち前のスピード感のある相撲も披露した。内容だけなら十分合格点だが、椅子席の最前列に陣取った横審の視線は厳しかった。6日後に迫った初場所の期待について鶴田委員長は「11勝はしないとまずいだろう。本当は13勝くらいはほしい」。さらに「また1桁ならば一言二言、気合を入れないといけない。個人としても委員会としても激励する」と荒療治も辞さぬ構えだ。

 横審の内規には成績不振などの横綱に対し「激励」「注意」「引退勧告」を行えると定められている。角界のご意見番はこれまでにも59年に3場所連続休場した朝汐(のちの朝潮)に「激励」するなど、それなりの措置を講じてきた。九州場所で9勝の日馬富士に対しても、監視の目は緩めていない。

 渦中の日馬富士は稽古を終えると「白鵬と相談して稽古をやることになった。いい稽古ができた。いい汗が流せた」と上機嫌。初場所に向けても「一生懸命努力するだけ。結果は後からついてくる」と自信満々に言い切った。8日は尾車部屋で行われる二所ノ関一門の連合稽古に参加し大関・稀勢の里らと稽古を行う予定。「勝ち負けは関係ない。力を出し切るだけ。ベストを尽くすだけ」。威勢のいい言葉が27日の千秋楽まで聞けることを祈るばかりだ。

 ▽横審の内規(抜粋)

 横綱が次の各項に該当する場合は、横綱審議委員会はその横綱の実態をよく調査して、出席委員の3分の2以上の決議により、激励・注意・引退勧告等をなす。

 イ、休場の多い場合。ただし、休場が連続する時でも、そのケガ・病気によっては審議の上、再起の可能を認めて治療に専念させることがある。

 ロ、横綱としての体面を汚す場合。

 ハ、横綱として非常に不成績であり、その位に堪えないと認めた場合。

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