国立大初の決勝!筑波大、残り5分で再逆転

[ 2013年1月3日 06:00 ]

<東海大・筑波大>後半35分 筑波大・粕屋(中)は、東海大・小泉のタックルを受けながら逆転トライを決める

ラグビー全国大学選手権 筑波大28-26東海大

(1月2日 東京・国立競技場)
 準決勝を行い、筑波大(関東対抗戦1位)が東海大(関東リーグ戦1位)を残り5分での逆転劇の末、28―26で破って国立大初の決勝進出を果たした。前半は16点差をつけられたが、後半に2トライなどで逆転。再び先行を許した後の35分に途中出場したロック藤田幸一郎(3年)のチャージから最後はフランカー粕谷俊輔(3年)のトライで再逆転した。国立大初優勝が懸かる13日の決勝は、早大(関東対抗戦4位)に完勝し史上初の4連覇を狙う帝京大(同2位)と対戦する。

 “国立大魂”で筑波大がミラクル逆転劇を起こした。チームの救世主となったのは「勉強もラグビーもしたかったから」という理由で1浪の末に一般入試で入学した途中出場のロック藤田だった。古川拓生監督が「彼はポカがあるので80分は使えないが、身体能力は凄いから残り20分ではかなり使える」と後半18分から起用。同33分に東海大に再逆転を許してからわずか2分後、相手のSO阪本に向かって果敢にチャージし、見事にボールをはじいた。それを関東有数の進学校である埼玉・浦和高出身のフランカー粕谷がつかんで逆転トライ。ピッチ外では社会工学を学び、金融や商社への就職を目指す藤田は「トライにつながってよかった」と満面の笑みを浮かべ、古川監督も「あのチャージがチームの成長を表した」と諦めない精神力を絶賛した。

 風下に立った前半は3トライを奪われて16点差をつけられたが、FB内田太主将が「後半は風上だから」と明かしたように決してチームが焦ることはなかった。後半23分までに2トライを奪うなどして逆転。残り7分で再逆転を許した際には内田太主将がピッチ上で選手を集め「7分もあれば俺らなら取れる。何も慌てることはない」と冷静に鼓舞し、逆転につなげた。

 部員数は他の私立勢3チームが100人を超える大所帯に対して約60人。選手寮もなし。それでも、一部の選手が「朝食会」と題して食堂に集まって朝食を取るなど抜群のチームワークで国立大初の決勝進出を果たした。先月19日にはメンバー22人のうち14人がウイルス性の腸炎にかかったが、練習前後に必ず消毒を義務づけるなどして最大の危機を乗り切った。

 残すは国立大初の優勝だけ。13日の決勝の相手は昨年準決勝で敗れた帝京大と申し分なし。内田太主将が「去年負けた相手なので上がってきてくれてうれしい」と話せば、「最高の舞台で最強の相手とできる」と古川監督。夢にまで見た大学日本一を果たした先に本当の歓喜の瞬間が待っている。

 ▼薫田真広日本代表アシスタントコーチ ポテンシャルがあるチームだと思う。思い切って自分たちのラグビーをしてほしい。(筑波大OB、87年に対抗戦2位で旋風)

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2013年1月3日のニュース