SO山沢、4人引き連れ突進 初シード深谷逆転1勝

[ 2012年12月31日 06:00 ]

<日川・深谷>後半、深谷・山沢(中)は4人がかりで止められる

全国高校ラグビー大会2回戦 深谷14―10日川

(12月30日 東大阪市・花園)
 シード13校が登場して2回戦16試合が行われ、初シードに選ばれたBシードの深谷(埼玉)は日川(山梨)に14―10で競り勝った。高校生ながら7月の日本代表候補合宿に招集されたSO山沢拓也(3年)を中心とした攻めで初戦を突破した。前々回大会優勝の桐蔭学園(神奈川)は東海大翔洋(静岡)に62―7で圧勝。4連覇を狙う東福岡(福岡)は遠軽(北北海道)に102―0で大勝し、幸先のいいスタートを切った。

 敗戦への焦りが山沢のポテンシャルを引き出した。後半14分に日川にトライを許して逆転された。少ない残り時間。「結構焦って、慌てて1人で行っちゃうプレーが多くなった。がむしゃらだった」。本人は反省したが、その必死さが深谷の突破口を開いた。

 土砂降りの雨のせいで、前半からボール回しに四苦八苦。チームとしてミスを連発し、山沢もいい形で受けられなかった。FWの平均体重は85・4キロで、FW戦では6キロ上回る日川に押し込まれて苦戦。だが、山沢が縦に切れ込むことで、日川守備陣のバランスが少しずつ崩れた。後半26分、ラックから出たボールが山沢に再び渡る。「ボールが出た時に人数が勝っていたから迷わず外に回した。周りの選手ももっと信用しなきゃと思った」と左へ展開。受け取ったCTB三笠が逆転のトライを決めた。

 横田典之監督(44)は「山沢が3、4人引き連れていくのは一つのパターン。それまでが信じられないくらい相手の守備がぽっかり空いた。山沢効果かもね」と一連のプレーを振り返り「厳しい場面でも仲間を信じられるようになった。それも成長」と評価した。

 山沢が本格的にラグビーを始めたのは高校に入ってから。1年生で花園デビューを飾ると驚異的なスピードで成長を遂げた。7月には38人が選ばれた日本代表候補合宿に高校生でただ一人参加。貴重な経験を積み重ねて総決算となる3度目の花園を迎えた。「考えすぎることが多くなっちゃってスピード感がなくなってる。個人的には成長しきれてない」と山沢自身は納得しきれない様子だが、初戦を突破したことで本領発揮のチャンスは残った。

 元日の3回戦は同じくBシードの伏見工(京都)と激突する。山沢にとって1年生の時に15―65で大敗した相手で、同世代のライバル、FB松田力也との“超高校級対決”でもある。「あの時は伏見工には全然通用しなかった。リベンジするつもりで勝ちにいきたい」。2年連続16強止まりの壁。それを突破できるかどうか。山沢の真価が問われる。
 
 ◆山沢 拓也(やまさわ・たくや)1994年(平6)9月21日、埼玉県熊谷市生まれの18歳。熊谷東中時代はラグビー部に在籍したが、クマガヤSCでサッカーに打ち込み、FWとして県選抜に選ばれた。ラグビーは高校から本格的に始め、2年時に高校日本代表。U―17、U―19代表でもあり、日本代表候補合宿にも参加。卒業後は筑波大に進学予定。朝風呂に入るのが試合前の験担ぎ。50メートルは6秒2。1メートル78、83キロ。

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