藤田、史上初V3へ逃走モード 2位と6差に広げた

[ 2012年12月2日 06:00 ]

13番、バーディーパットを決めギャラリーの声援に応える藤田寛之

男子ゴルフツアー 日本シリーズJTカップ第3日

(12月1日 東京都稲城市 東京よみうりカントリークラブ=7023ヤード、パー70)
 藤田寛之(43=葛城GC)が賞金王、大会3連覇、マスターズ出場権に王手をかけた。6バーディー、4ボギーの68でスコアを2つ伸ばし、通算15アンダー、195で2位に6打の大差をつけて首位をキープ。2位には石川遼(21=パナソニック)、谷口徹(44=フリー)ら4人がつけた。

 ピンチの時こそ底力を発揮する。それが藤田の真骨頂だ。スコアを3つ伸ばした後に天気が急変。冷たい雨と強い風がコースに吹きつけた。8番で今大会初ボギーを叩くと、9番では強い向かい風でパーオンできずに連続ボギー。ゴルフも雲行きが怪しくなった。

 10番も残り185ヤードの2打目をグリーン手前に外した。アプローチも寄らず3メートル残した。しかし、勝負どころで集中力は最大限に高まった。きっちりねじ込みパーをセーブすると、11番で5メートルのバーディーパットを沈め悪い流れを断ち切った。「10番で3メートルを入れたのが大きかった」。その後、天気も回復し68でまとめた。2位に6打差の独走態勢。「すぐそこにタイトルが来ている。必ず持って帰る強い気持ちでやりたい。大会3連覇、賞金王、世界ランク。全て最後の18ホールに懸かっている」と優勝への強い思いを語った。

 初の賞金王が目前だが藤田の中で最強を意味するのはタイトルではない。「他のプロができないことをやるのが本物のプロ」との哲学がある。だから谷口らトッププロに評価されるのは何よりうれしい。「印象とかで相手をやっつけるような空気が出ているのはゴルファーとして最高の喜び」と言う。同組の石川は「常に流れの中心にいたのは藤田さん。エネルギーを消耗した。手のひらで踊らされているみたい。11番のバーディーなんか僕に流れを渡さないぞという感じだった」と脱帽。それはまさに藤田の求める最強の姿だった。

 1メートル68の体で40歳を超えて8勝。遅咲きの藤田を支えてきたのが向上心だ。石川は「もっとうまくなろうという気持ちが強い。練習の時にこのくらいで引き揚げようというラインが高い。妥協しない」と凄さを語る。この日も、係員が練習グリーンの整備を始めても打ち続ける藤田の姿があった。一打一打に魂を込めてきたプロ21年目。最終日の2日、その努力が結実する。

 ▼2位・金庚泰 逆転は無理。今年の藤田さんはいくら調子が悪くてもスコアを出す。ハートが強いし、他の選手とパット、アプローチが違う。(6打差に白旗ムード)

 ≪40代以上賞金王なら史上3人目≫藤田は勝てば日本シリーズ史上初の3連覇となる。また、単独16位以上なら賞金王が確定で、1973年のツアー制施行後では40代以上の賞金王は尾崎将司、尾崎直道に次いで3人目となる。初めて賞金王になった選手の最年長はこれまでは飯合の39歳で、43歳の藤田は更新する。現在、世界ランク48位のため、優勝なら年末時点での世界ランク50位以内も当確の見込みだ。

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2012年12月2日のニュース