新横綱・日馬 白星発進 女性ファン泣きながら声援

[ 2012年11月12日 06:00 ]

日馬富士が豊真将を寄り切り、新横綱白星スタート

大相撲九州場所初日

(福岡国際センター)
 16場所ぶりに東西に横綱がそろった場所で、新横綱の日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)が小結・豊真将(31=錣山部屋)を寄り切り、白星スタートを切った。横綱土俵入りでは緊張感から手を滑らしたが、取組では自らのスタイルを貫き、連勝を32に伸ばした。白鵬(27=宮城野部屋)も快勝したが、史上最多3人のカド番大関のうち、佐渡ケ嶽勢の琴奨菊(28)、琴欧洲(29)は黒星発進となった。

 本場所では初めて披露する横綱土俵入り。緊張のあまり、日馬富士は不知火型の見せ場であるせり上がりを行った後、四股を踏んだ際に右膝に添えた右手を滑らせた。明らかに動きはガチガチだったが、約2時間後に迎えた横綱初の取組では、闘志の塊のようないつもの姿に戻っていた。

 立ち合いで豊真将を突き起こした後、左から張ってけん制。いったん体が離れたが、再び左張り手を繰り出しながら巧みに右を深く差し入れ、慎重に寄り切った。「初日は緊張感があり、わくわくする。それを味わいながら自分の相撲に集中した」。最上位に立っても自らのスタイルは崩さず、夏場所千秋楽から続く連勝を32まで伸ばした。

 秋場所後から自分なりの横綱像を模索してきた。133キロという幕内最軽量の体で勝つために闘志を前面に出す相撲が日馬富士の持ち味だったが、品格を重んずる横綱審議委員からは“張り手禁止”のお達しがあり、思い悩んだ時期もあった。

 そんな中で、心の支えになったのは先輩からの助言だった。外国出身初の横綱でプロレスラーの曙から秋巡業中に「横綱らしい相撲なんて余裕が生まれてからじゃないとできない。最初はそのままの相撲で」とアドバイスを受け、感銘を受けた。さらに10日には兄貴と慕う朝青龍から電話で「不安があるのは(歴代の)69人みんな一緒。余計なことを考えずに頑張れ」と背中を押された。

 新横綱のお披露目の場所で初日に満員御礼が出なかったのは日本相撲協会に記録がそろう85年以降では初めてだったが、帰り際には女性ファンが「格好いいー!」と泣きながら声をかける一幕も。「人間として感動と勇気を伝えたい」。好きも嫌いも人それぞれ。日馬富士は自身のスタイルを貫くことしか考えていない。

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