駒大箱根へ弾み エース窪田が最終区逆転!大会新V2

[ 2012年11月5日 06:00 ]

2年連続10度目の優勝を果たし、笑顔でゴールする駒大のアンカー・窪田忍

第44回全日本大学駅伝

(11月4日 愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮、8区間106・8キロ)
 駒大が大会新記録の5時間12分43秒で2年連続10度目の優勝を果たした。トップの東洋大に1分7秒差でタスキを受けた最終8区でエース窪田忍(3年)が区間2位の快走で逆転。10年の早大の大会記録を19秒更新した。東洋大は49秒差の2位で、早大は3位だった。10月の出雲を制した青学大は出場していない。来年1月の箱根で5年ぶりの優勝を狙う駒大は大きな弾みをつけた。

 鮮やかな大逆転劇だった。アンカー窪田が引き継いだ時のトップ東洋大との差は1分7秒。大八木監督は戦前「1分以上だときついかもしれない」と予想していた苦しい展開だった。だが、5位惨敗に終わった10月の出雲後、気合を入れ直すために丸刈りにした窪田は「今回は絶対抜いてやる」と19・7キロの最長区間を激走した。ジワジワと東洋大の服部との距離を詰め、13キロで並んだ。14キロすぎにはスパートをかけ、一気に突き放した。「1回前に出てみて、相手が離れたら、行こうと思っていた」。早めに仕掛ける好判断も効いた。

 1位でゴールテープを切るのは2年連続だが「喜びは数倍違う」。昨年は東洋大に1分40秒差のトップでタスキを受けたが、猛追する“新山の神”柏原竜二(現富士通)のプレッシャーで失速した。33秒差まで詰められるヒヤヒヤの勝利だった。「昨年は焦りで足が動かなかったが、今年はリラックスしていけた」と精神面の成長ぶりを見せた。

 待望の絶対的エースの誕生だ。近年の駒大は豊富な戦力を有するものの、マラソン前日本記録保持者の藤田敦史(現富士通)のような存在はいなかった。下級生時から窪田に期待してきた大八木監督は「きょうは窪田のおかげ。エースらしくなってきた」と絶賛した。窪田も「今年は意識が変わった。エースはここぞというときに勝てる選手だと思う」と自覚も十分だ。

 前回の箱根は東洋大に9分2秒もの大差で負けた。今年の駒大は曹洞宗の教義「只管打坐(しかんたざ)」をヒントに、ひたすら走るという意味の「只管打走」をテーマに掲げ、走力アップを図ってきている。絶対的エースは言った。「次こそ勝ちます」。5年ぶりの箱根総合優勝は十分手が届くところにある。

 ◆窪田 忍(くぼた・しのぶ)1991年(平3)12月12日、福井県鯖江市生まれの20歳。鯖江高3年時に国体1万メートル9位。今年2月にハーフマラソンで1時間1分38秒の駒大新記録。1万メートルでは5月に28分7秒01の自己ベストをマーク、日本選手権では5位に入った。1メートル67、53キロ。

続きを表示

この記事のフォト

2012年11月5日のニュース