真央逆転V!ロシア14歳新星にオトナの貫禄見せた

[ 2012年11月4日 06:00 ]

フリーの演技を終え、笑顔で声援に応える浅田真央

フィギュアスケートGPシリーズ第3戦中国杯最終日

(11月3日 上海・東方体育中心)
 大人の貫禄を少女に見せつけた。女子フリーが行われ、SP2位の浅田真央(22=中京大)が、日本人最多となるGP通算9勝目を挙げた。今季GP初戦だった浅田は118・87点をマークし、SP首位だったユリア・リプニツカヤ(14=ロシア)を逆転。シーズンのGP初戦で優勝するのは07年スケートカナダ以来、5年ぶりとなった。14年冬季五輪会場のソチで行われるGPファイナル(12月6日開幕)へ前進した。

 尖閣諸島国有化で緊迫した日中関係も、リンクでは氷解だ。浅田の演技後半、中国人ファンが大きな手拍子で後押しする。現地での人気を証明するように演技直後だけでなく、得点を待つキス&クライにも大きなぬいぐるみが降ってきた。フリー1位の高得点で、SPで0・17点差をつけられていた新星・リプニツカヤをきっちり逆転。「フリーは100%じゃなかったけど、優勝することができてうれしい」と笑顔で振り返った。

 「白鳥の湖」に乗った4分間。ジャンプは回転不足が目立ったものの、10月のジャパン・オープンで0点もあったスピンは、3つとも最高難度のレベル4を獲得。技術点ではリプニツカヤに及ばなかったが、5項目の演技点で6・91点差をつけた。22歳と14歳。音楽の解釈で8・25点を出すなど、スワンになりきった浅田の表現力がその勝因だった。「ユリアちゃんに言える立場じゃないけど、これからも精いっぱい頑張ってほしい」

 今季はSP、フリーともにトリプルアクセルを封印してシーズンイン。昨季は大技に挑戦するか、回避か決断はいつも試合直前だった。「今季は入れない設定で練習している。気持ちに余裕が出ればレベルアップにつながる」。この日はジャンプでミスがあったが、今季終盤にはトリプルアクセルをプログラムに入れる予定。今は現時点でできることに集中し、完成の時を待っている。

 昨季は世界選手権6位に沈んだものの、7年前にシニアデビューした思い出の中国杯で好スタートを切った。「短いような長いような不思議な気持ち。久しぶりにうれしい気持ちになれて、また頑張ろうと思った」。次戦のNHK杯(23日開幕、宮城)で3位以内に入れば、ファイナル進出が決まる。「まだまだレベルアップしていきたい」。復活の先にある進化を見据えて、浅田が進撃する。

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2012年11月4日のニュース