桃子 天国の“ファン第1号”に連覇で恩返しだ

[ 2012年10月30日 06:00 ]

中部国際空港に到着した上田桃子は、2007年、2011年時の優勝時の写真を手に、笑顔を見せ、今大会への活躍を誓う

 国内唯一の全米女子プロゴルフ協会公式戦で、日本ツアーも兼ねる「2012ミズノクラシック~伊勢志摩~」(スポニチ主催)は11月2日から3日間、三重県志摩市の近鉄賢島カンツリークラブで開催される。昨年、涙の復活優勝を遂げた上田桃子(26=フリー)は29日、台湾から中部国際空港着の航空機で帰国。今年2月に食道がんのため亡くなった“ファン第1号”の成田次郎さん(享年61)へ大会連覇の吉報を届けることを誓った。

 意識しなくても自然と気合が入る。過去6度の出場で2度の優勝。「いろんな思い出がつまっている」というミズノクラシックに上田が手応えを携え戻ってきた。

 「特に力を入れたい試合だから、できる限りの準備をしてきました」

 前週の米ツアー台湾選手権は18位だったが、試行錯誤してきたショットが復調。力強い言葉が、戦う準備が整ったことを示していた。

 優勝の知らせを届けたい人がいる。中学2年生の時に出会った成田次郎さんだ。三重県桑名市であった大会に出場した際に、成田さんが経営する飲食店に入った時に「お金はいらないよ。がんばってプロになって戻っておいで」と背中を押してくれた。いわば“ファン第1号”だ。06年から出場しているミズノクラシックには毎年観戦に訪れた。優勝した07年大会、最終日7番でのアルバトロスも目撃。昨年は体のあちこちに転移したがんのため「腰が痛い」と言いながらもコースを歩き、復活優勝を18番グリーンで見守ってくれた。

 米国にも観戦に行くことを励みに病と闘ったが、願いがかなわず2月1日に亡くなった。開幕直前だったため葬儀・告別式には上田に代わり母・八重子さんが参列。プレゼントしたキャディーバッグや上田の写真に囲まれながら、成田さんは旅立ったという。

 「(成田)次郎さんはきっと見ていてくれる。伝わるゴルフをしたい」

 切れのある上田のショットが大好きだった成田さん。天国へ届く会心のショットの先に連覇がある。

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