日馬 土俵入り初稽古で四苦八苦…師匠「大丈夫か?」

[ 2012年9月28日 06:00 ]

伊勢ケ浜親方(右)から土俵入りの指導を受ける日馬富士

 横綱に昇進した日馬富士が27日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で横綱土俵入りの初稽古を行った。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)から直々に不知火型の指導を受けたが、第70代横綱は何度も失敗を繰り返すなど四苦八苦。一門の関取衆らが綱打ち式で製作した「4・5メートル、8・7キロ」の綱を締めながら、約50分をかけて入念に動作を確認した。

 横綱の象徴である綱を締めた日馬富士の全身から大粒の汗が滴り落ちた。師匠の伊勢ケ浜親方と同じ不知火型を猛練習。100人以上が見守る中、手本を見せる師匠に従って所作を確認したが、両腕を左右に広げる見せ場の“せり上がり”に入る前に失敗を連発した。

 土俵中央に向かって歩く際の踏み足を間違えたり、四股の際に上げる手が左右逆になったり…。開始から約50分後。師匠から「大丈夫か?」と心配されると「ラストお願いします!」と懇願。ゆっくりと時間をかけた最後の通し練習は何とかミスなしで乗り切った。

 事前に師匠の現役時代の映像を見たが「見るのとやるのとでは全然違う」とイメージが膨らまなかった。指導するために同じく自らの映像を見返していた伊勢ケ浜親方は「時間がかかったな」と苦笑い。それでも、弟子に土俵入りを教える夢がかなっただけに「やっぱり弟子は違うね」と感無量の表情を浮かべた。

 この日、締めた綱は所属する春日山・伊勢ケ浜連合の関取衆ら約40人の手で午前9時から製作された。133キロと小兵のため、通常より綱の中に入れる麻の量を少なくし、重さは資料が残っている不知火型の綱の中では最軽量の8・7キロ。背中の結び目が二輪の不知火型は一輪の雲竜型よりも長くなりがちだが、日馬富士のものは4・5メートル。同じ不知火型の白鵬よりも1メートル短く“小兵横綱”を象徴する綱となった。

 28日に行う明治神宮での土俵入り初披露に向け「親方のようなきれいな土俵入りをやりたい。頑張ります!」と“これ見よがし”に力こぶをつくった。だが、即座に「こういうことしたらダメだな」と反省。口上でも述べたように横綱を自覚し、全身全霊で土俵入りを務め上げるつもりだ。

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