有村 涙のメジャー初優勝!「とにかく幸せ」

[ 2012年9月10日 06:00 ]

日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯・最終日、優勝カップに笑顔でキスをする有村智恵

女子ゴルフツアー日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯最終日

(9月9日 滋賀県甲賀市タラオカントリークラブ=6670ヤード、パー72)
 涙、涙のメジャー初優勝だ。2位に3打差の首位で出た有村智恵(24=日本ヒューレット・パッカード)は米賞金ランクトップの朴仁妃(24=韓国)の猛追にあいながらも、2バーディー、2ボギーの72で耐え、通算13アンダーで1打差で逃げ切った。昨年は左手首痛で欠場した大会で今季3勝目を挙げ、ツアー通算13勝とした。今季賞金を約8100万円として賞金ランク3位に浮上し、トップの全美貞との差を約2000万円に詰めた。

 懸けていたものの大きさが涙になって表れた。スコアカード提出場に向かう前、有村の瞳からボロボロこぼれるものがあった。冷静さを取り戻した後の閉会式でも、また泣いた。今度は大泣きだ。昨年は大会前日にコースに姿を見せながら、左手首痛のために涙で欠場を決断した。あれから1年。苦しみを分かち合った両親、姉の前で悲願のタイトルをつかんだだけに、喜びは格別だった。

 「ホッとした気持ちと、4日間の厳しい戦いが終わった解放感と。とにかく幸せです」

 前半は同じ87年生まれの吉田とのマッチレース。しかし、重圧から第1打をラフに入れた8番をボギーとし1打差となった。10番のバーディーで吉田との差を広げたが、スコアを伸ばしきれずにまごついている間に、スタートで8打差あった米賞金ランク首位の朴仁妃が猛追。5連続バーディーフィニッシュで1打差に迫られていた。それを知ったのは、18番グリーンに上がった時だった。「凄いな、と。でも、近いトライだったので、これを沈めて終われたら」。攻める気持ちで臨んだ3メートルのバーディーパットは50センチオーバーしたが、返しを沈めて高々と右手を上げた。

 これまで12勝を挙げながら、メジャータイトルに縁がなかった。結果的に、勝利数や上位進出の回数は他のトッププロと遜色はないのに賞金女王に手が届かない要因になっていた。5勝を挙げた09年(賞金ランク3位)、3勝の11年(同)がその典型だった。

 今季は「メジャーでの勝負弱さをどう克服するか」を考え、定期的に欠場するようにした。昨夏に痛めた左手首の負担を軽減する狙いもあった。その結果、「ここぞの集中力が切れなくなってきた」と、体力面だけでなく、気持ちの切り替えにつながった。2週間前に休養を取って、先週が3位で今週は優勝。効果は如実に表れた。

 新たな勲章を得て、賞金女王争いに可能性を残した。トップの全美貞に約2000万円差に詰め「まだまだ遠い額だけど、不可能ではない数字」と前を向いた。日本のエースとして、これ以上、韓国勢の独走は許さない。

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