穴井2回戦であっさり 男子金まだゼロの非常事態

[ 2012年8月3日 06:00 ]

男子100キロ級で一本負けを喫し、涙を流す穴井隆将

ロンドン五輪柔道

 日本のお家芸が史上最大のピンチを迎えた。柔道男子100キロ級で穴井隆将(27=天理大職)が2回戦敗退。6日間を終了し、金メダルがゼロという非常事態に陥った。

 柔道男子が正式競技となった64年東京五輪以降、88年のソウルの「1」が過去最低。3日の最終日に登場する100キロ超級の上川大樹(22=京葉ガス)に最後の望みを託す。また、女子78キロ級の緒方亜香里(21=筑波大4年)も2回戦で敗れ、6日目でついにメダルも途切れた。

 井上康生コーチに肩を抱きかかえられ、憔悴(しょうすい)しきったまま通路を引き揚げた穴井の姿が、お家芸最大の危機を象徴していた。「普段通りの朝を迎え、いつも通りにウオーミングアップをし、いつも通り畳の上に上がったつもりだった」。うつろな目の男子のエース格は「自分自身が勝つことだけを考えていたけど、これが勝負だと思います」と言うと、すすり泣いた。

 初戦は逃げる英国選手を追い詰め、指導3で無難なスタートを切った。だが、昨年の世界選手権銅メダリストのクルパレクとの2回戦。序盤から攻めながら、相手の巴投げからの寝技にのみ込まれ、あっけなく横四方固めの餌食になった。天井を向いたまま無残にブザーを聞いた穴井は「終わったなあ、と思いました」と目を閉じた。

 「ここまで金メダル0というプレッシャーがあって、体に硬さがあったんじゃないか。あんなにあっさり抑え込まれる選手じゃない」と言うのは男子の篠原信一監督。天理高時代から目をかけ、現役時代から練習パートナーに抜てきした愛弟子に「プレッシャーを与えるような、金メダル0という状況をつくり出したのは私の責任でもある。申し訳ない気持ち」と肩を落とした。

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2012年8月3日のニュース