北朝鮮に難敵 谷討ちのケー・スンヒコーチ

[ 2012年7月28日 06:00 ]

96年アトランタ五輪女子48キロ級決勝で田村亮子(右)を破り金メダルを獲得したケー・スンヒ

 序盤戦のメダルラッシュが待望される女子柔道に、不気味なライバルの存在が明らかになった。28日から競技が行われる柔道の北朝鮮女子代表コーチに、96年アトランタ五輪女子48キロ級金メダリストのケー・スンヒ氏が就任していることが分かった。

 ケー氏はアトランタの決勝で田村亮子(現姓谷、現参議院議員)を破った。52キロ級の中村美里(23=三井住友海上)は初戦となる2回戦で北朝鮮のアン・グムエと対戦することが濃厚で、“日本人キラー”の存在は不気味だ。

 ケー氏はすい星のごとく現れたアトランタ五輪で田村を破り、金メダルを獲得。その後、52キロ級、57キロ級と階級を上げながら世界選手権を4度制覇、シドニーは52キロ級で銅、アテネは57キロ級で銀メダルを獲得している。アトランタでは当時のルールをかいくぐり、柔道着を左前で合わせ、田村の動揺を誘うなど、実力だけでなくクレバーさも備えた希代の柔道家だ。10年に現役引退と北朝鮮の地域チームのコーチ就任が報じられ、今回は代表チームの指導者としてロンドン入りした。

 焦点は初戦となる2回戦で、北朝鮮のエース格アン・グムエと中村の対戦が濃厚な52キロ級だ。アンは北京五輪で中村を一蹴し、銀メダルを獲得。その後は10年アジア大会、11年世界選手権と2度対戦して中村が連勝しているが先にポイントを奪ったのはアンだった。そこにケー氏の戦略が加われば、厳しい戦いとなるのは必至の情勢だ。

 中村は「対策はしてきたので、いつ対戦しても関係ない。北京のときに比べれば私が強くなっている。自分の柔道をすればいいだけ」とポーカーフェースを貫いているが、北京のリベンジを果たし金メダルロードを進むためには、意外な“難敵”も撃破しなければならない。

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2012年7月28日のニュース