白鵬、全勝キープも「興ざめ」変化…協会幹部もあきれ顔

[ 2012年7月22日 06:00 ]

はたき込みで稀勢の里(手前)を下した白鵬

大相撲名古屋場所14日目

(7月21日 愛知県体育館)
 2場所ぶり23回目の優勝を狙う横綱・白鵬は横綱昇進後では初となる立ち合いの変化で大関・稀勢の里を下し14戦全勝。琴欧洲を一蹴して全勝を守った大関・日馬富士との千秋楽相星決戦に持ち込んだ。千秋楽の全勝決戦は横綱・隆の里と横綱・千代の富士が対戦した83年秋場所以来29年ぶりだが、横綱のまさかの奇襲に熱戦を期待していた館内は拍子抜け。北の湖理事長(元横綱)ら協会幹部も厳しい言葉を並べた。
【取組結果】

 攻防のある相撲を期待した満員御礼の館内からは悲鳴しか漏れなかった。本来なら千秋楽に組まれる予定だった注目の一番。立ち合いが合わずに2度突っかけられた白鵬は仕切り線を越え、稀勢の里をにらんで威嚇した。仕切り直し。横綱が取った作戦はまさかの奇襲だった。左に変化すると、稀勢の里は勢い余ってダイビング。さすがにバツが悪かったのか。白鵬も土俵上で口を「へ」の字に曲げてから勝ち名乗りを受けるために蹲踞(そんきょ)した。

 相手の陽動作戦にはまった稀勢の里にも非はあるが、白鵬に対する協会幹部の印象も悪い。北の湖理事長は「受けて立って圧倒してほしかった。見ていたお客さんが期待していたと思う」と落胆気味。鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)も「興ざめだよ、興ざめ」とあきれ顔だ。

 全勝の横綱と大関による千秋楽相星決戦は史上初。手段を選ばず勝利を手にした白鵬は「合わさないといけないし、自分も悪いと思う」と反省の弁を述べ「きょうはこういう相撲でしたから、あす(千秋楽)はいい相撲を取りたい」と奮闘を約束した。だが、双葉山、大鵬を超えて歴代1位の9回目の全勝優勝が懸かる大一番を前にして、後味の悪さだけが残ってしまった。

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