稀勢 東の正大関“昇格”でついに出た「優勝したい」

[ 2012年6月26日 06:00 ]

初めて東の正大関に就いた稀勢の里は番付表を手に決意を新たにする

 日本相撲協会は25日、大相撲名古屋場所(7月8日初日、愛知県体育館)の新番付を発表し、稀勢の里が初めて東の正大関に就いた。愛知県長久手市内の鳴戸部屋宿舎で行われた会見では「優勝したい」と明言。先場所は優勝争いをリードしながら終盤に崩れ初優勝を逃した。その悔しい思いを胸に、昨年11月に急逝した先代師匠(元横綱・隆の里)と同じ大関4場所での初優勝を貪欲に狙っていく。

 会見などで、めったに具体的な目標を口にしない男が珍しく欲望を丸出しにした。6大関の中で番付が最上位となった稀勢の里は「先場所は期待を裏切ってしまった。今場所こそ優勝したいと思っている」と宣言。公の場で「優勝」という2文字を使うことは過去にはなかった。悲壮な決意表明には「今でも思い出すと悔しい」と振り返る先場所の屈辱を晴らしたい気持ちが凝縮されていた。

 夏場所は単独トップとなって一時は後続に2差リードしながら残り4日で3敗し、11勝4敗。勝てば優勝決定戦に進出していた千秋楽の把瑠都戦は土俵際まで押し込んだが“あと一歩”が出なかった。「あと少しだった。そのあと少しをどれだけ縮められるか」。国産力士として6年ぶりの優勝は逃したが「気持ちの緩みがあり、集中力もなかった」と原因は自身が一番分かっている。

 技術的には代名詞の左おっつけに加え「もう一つ武器が増えれば」と“右”からの攻めを強化中。「大関の責任がありますから軽い気持ちで調整できない」と自覚もたっぷりで、これまでは部屋の方針で行わなかった出稽古も「師匠に言われれば、いつでもいける用意はしている」と解禁する可能性を示唆した。

 昨年11月に急逝した先代師匠は大関4場所目で初優勝。「自分と先代は格が違う」と謙遜するが、偶然にも昇進から3場所の勝敗数(31勝14敗)も先代と同じ。1年前は中止となった地元後援者らによる初日のバスツアーも復活するなど優勝への舞台は整っている。千秋楽には白鵬と対戦することが決定的な東の正大関。「いい状態で横綱と当たりたい。お客さまも盛り上がると思う」。名古屋場所最後の一番で横綱を倒して初賜杯。相撲人気回復の決定打は、それしかない。

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2012年6月26日のニュース