20年五輪招致3都市最終候補 東京が最有力

[ 2012年5月25日 06:00 ]

2020年夏季五輪招致の第1次選考を通過し気勢を上げる(後列左から)大山加奈さん、大林素子さん、柴田亜衣さん、石原東京都知事、鈴木大地さん、小谷実可子さん、勅使河原郁恵さん、(前列左から)成田真由さん、大日方邦子さん

20年夏季五輪招致 第1次選考

 国際オリンピック委員会(IOC)は23日(日本時間24日)、カナダ・ケベックで開いた理事会で20年夏季五輪招致の第1次選考を行い、東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)の3都市が最終選考に進んだ。ドーハ(カタール)とバクー(アゼルバイジャン)が落選。ドーハ落選でアジアの協力を得られやすくなったとの見方もあり、16年五輪招致に失敗した東京はリベンジへ第一歩を踏み出した。開催都市を選ぶIOC総会は来年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれ、約100人のIOC委員の投票で決まる。

 ローマ(イタリア)の離脱で5都市となっていた20年の招致レース。5都市のまま最終選考を迎えるとの見方もあったが、結果は16年の4都市より少ない3都市となった。宿泊施設や国際大会開催経験の不足で大きく劣ったバクー、暑さが壁となったドーハの2都市が落選。特に鍵となったのはドーハの落選だった。

 22年のサッカーW杯開催が決まっており、豊富な資金力を生かしたインフラの整備も注目されていたアジアの“強豪”。16年招致では酷暑を避けての10月開催が問題視されたが、今回は事前にIOCが10月開催を容認していた。それでも、結果的にはC?排出問題など暑さに絡む問題が落選の原因となった。これでアジアの立候補都市は東京だけとなり、アジア各国の協力を得られやすくなったとの見方が強い。

 さらに、これまで最有力と見られていたイスタンブールにも“逆風”が吹いている。トルコが今年4月、サッカーの20年欧州選手権開催にも立候補。同じ都市の大規模大会のどちらに本腰を入れるのかが分からなくなったことについて、この日公開されたIOCの報告書でも「大きなリスクがある」と強調された。また、都市力で日本と並ぶ評価を受けたマドリードも、欧州の経済危機への懸念が表明されている。

 東京の充実した計画はIOC委員に浸透しており、于再清IOC副会長(中国)が「東京がベスト」と断言したように、有力候補として最終選考に突入する。

 だが、16年招致ではこの書類選考を1位通過した東京だが、最終投票では4都市中2番目に落選する惨敗を経験した。昨年の東日本大震災以降、原発事故への不安だけでなく、国内には震災復興途上での五輪開催に否定的な声もある。7月のIOC総会でIOC委員に選出される予定の竹田恒和・東京招致委員会理事長は「国民の皆さんに五輪開催の意義をご理解いただいて招致を成功させたい」と引き締まった表情で話した。

 ▽今後の流れ 今年許されている国際キャンペーンは7月27日に開幕するロンドン五輪期間中のみ。日本はロンドン市内にジャパンハウスを設け、IOC委員らにアピールする。IOCへの立候補ファイルの提出期限となる来年1月7日以降は、国際的な招致活動が解禁される。来春にはIOC評価委員会メンバーが来日し視察。同委員会が6月に評価報告書を策定し、同月、各都市のプレゼンテーションが行われる予定。9月7日のIOC総会で20年開催都市が決まるまで実質8カ月と、招致活動は短縮されている。

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2012年5月25日のニュース