栃煌山 同学年のライバル・稀勢の里下し1差に迫る

[ 2012年5月18日 06:00 ]

栃煌山は稀勢の里を寄り切りで下す

大相撲夏場所12日目

(5月17日 両国国技館)
 3敗の平幕・栃煌山が優勝争いに踏みとどまった。1敗で単独首位に立っていた稀勢の里を終始攻め続けて寄り切り、1差に迫った。稀勢の里には06年初場所の栃東以来の日本人優勝の期待がかかっているが、同学年の栃煌山も名乗りを上げた。幕内最年長の平幕・旭天鵬も宝富士を寄り切り、栃煌山とともに3敗。横綱・白鵬ら9人が4敗で続いている。
【取組結果】

 館内がため息と悲鳴に包まれる中で勝ち名乗りを受けると、栃煌山は“どや顔”で花道を引き揚げた。単独首位の稀勢の里を破り、1差に迫る大きな白星。支度部屋では「気持ちで負けたくなかった」と頬を緩めた。

 仕切る前から大関を後押しする声援が圧倒的だったが、雰囲気にのまれなかった。それどころか「逆に燃えるんです」と気合十分だった。心の支えは支度部屋に持ち込むポーチに忍ばせてある「お守り」。母・雪絵さんから贈られたもので、いつも応援してくれる母を思い出すことで勇気が湧き、自分を見失わなかった。

 敵役に徹し、押し相撲の生命線である立ち合いに集中した。「(稀勢の里が)いつもより手をつく動作が速い。緊張しているのかな」と観察する余裕すらあった。低く当たって狙い通りのもろ差し。小手に振られて左の差し手が抜けると、おっつけに切り替えて愚直に前に出た。稀勢の里の最大の武器である左おっつけを封じる攻め。「差しにいくとやられるけど、押しながら差せば大丈夫」と得意げに説明した。

 明徳義塾高を経て05年初場所で初土俵。この時、中卒叩き上げの稀勢の里は既に幕内で注目を浴びていた。栃煌山は新関脇だった10年秋場所で11勝4敗の好成績を残し、稀勢の里より先に出世するチャンスもあったが、大関昇進は先を越された。

 同学年のライバルを逆転して先に初優勝を果たす絶好機。「やりがいがあります」と賜杯を視野に入れている。84年秋場所で平幕優勝の経験がある鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)も「俺みたいに?その通り。栃煌山は意地を見せた」と何かが起きることを予感していた。

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2012年5月18日のニュース