白鵬 朝青龍超えの通算670勝!同じ67場所目で

[ 2012年5月11日 06:00 ]

押し出しで豊真将を破る白鵬(左)

大相撲夏場所5日目

(5月10日 両国国技館)
 単独5位となる23回目の優勝を目指す白鵬が豊真将を押し出し、朝青龍の通算勝利数669勝を抜く670勝目を挙げた。優勝争いでは全勝を守った琴奨菊にリードされる展開だが、同じモンゴル出身の先輩横綱を超えて感慨深い表情を浮かべた。全勝だった大関の稀勢の里、栃煌山ら平幕3人も初黒星。1敗は新入幕の千代大龍を含めて11人となった。

 “朝青超え”を果たしたことを取組後に聞いた白鵬は、目を閉じながら不敵な笑みを浮かべた。同じモンゴル人の血が流れる唯一無二の先輩横綱。2年前に暴行問題で引退に追い込まれ、決して尊敬しているわけではないが、意識していないといえばうそになる。「それはなんぼ(何勝)?」「幕内に上がってから?」。いつもは口数の少ない取組後だが、この日ばかりは報道陣に逆質問し、670勝目の勝利の意味をかみしめていた。

 高校相撲(明徳義塾高)を経験している朝青龍の669勝時より年齢は2歳若いが、入門からの所要場所「67」は全く同じ。横綱になってからは会話することはめったになく、4年前には土俵上でにらみ合って物議を醸したこともあった。勝利を積み重ねるペースはそっくりだが、性格は真逆。それでも、電撃引退した時には「事実として信じたくない」と号泣し「横綱(朝青龍)の分まで頑張りたい」と、その後は不祥事に荒れる角界を支え続けた。

 その一方で故郷モンゴルに恩返しをしたい思いも当然ある。3月の春場所後にはロンドン五輪を目指すフェンシング・モンゴル代表チームが和歌山県で試合を行い、その際の宿泊費や生活費を全額負担。今場所後にはモンゴルに帰国し、母国の子供たちにランドセルを贈る予定だ。

 初日に安美錦に敗れ、2日目には左手人さし指を負傷。必ずしも万全ではないが、この日は豊真将をスピード感あふれる相撲で圧倒するなど徐々に調子を戻している。全勝を守った琴奨菊については「今年に入って自分が気にしていた一人」と分析する一方で、「いずれ同じ立場になる?」と聞かれると「うん、まあそうだね」。朝青龍を超えた今、白鵬が待ち望んでいるのは新たなライバルだ。

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2012年5月11日のニュース