国際陸連認めず…猫ひろし 本番3カ月前に五輪消滅

[ 2012年5月9日 06:00 ]

マラソンのカンボジア代表を取り消される猫ひろし

 夢舞台が消えた。昨年10月に国籍を取得したカンボジアで、ロンドン五輪男子マラソン代表に選ばれたタレントの猫ひろし(本名・滝崎邦明、34)について、国際陸上競技連盟が参加資格を満たしていないとの判断を同国陸連に通達したことが8日、分かった。カンボジア側は決定を受け入れる意向で、一度は決まった猫の五輪出場が消滅した。

 五輪本番の約3カ月前になって、ロンドンへの道が閉ざされた。国際陸連は猫が五輪参加資格を満たしていないと判断し、カンボジア陸連に通達していたことが判明。同国オリンピック委員会のワット・チョムラーン専務理事は「これ以上は抵抗しない。早急に人選をし、別の選手を派遣する」と話した。

 猫は10年12月にカンボジア国内でのハーフマラソンで3位になったことが評価され、国籍を変更しての五輪挑戦を打診された。昨年10月にカンボジア国籍を取り、今年2月の別府大分毎日マラソンでは2時間30分26秒をマークして自己ベストを大幅に更新。その時点では最大のライバルとされたヘム・ブンティンが昨夏マークした2時間31分58秒を上回っていた。

 五輪の陸上では、参加標準記録を突破した選手が一人もいない国・地域は、男女1人ずつがいずれかの種目に出場できるというルールがある。カンボジアにはこのルールが適用され、五輪参加B標準記録の2時間18分に届かない猫が、3月24日にカンボジア・オリンピック委員会から一度は五輪代表に選ばれた。

 だが、4月上旬になって国際陸連が猫の五輪参加資格を疑問視していることが表面化した。国際陸連は過去に国際競技会で代表経験がない選手の国籍変更に関連し、今年から新規定を設置。国籍取得後1年が経過していない場合は(1)連続した1年の居住実績(2)国際陸連理事会による特例承認――のいずれかが必要となった。これは、潤沢なオイルマネーを持つ中東諸国へのアフリカ選手の“移籍”に歯止めをかけるものであったが、先に国籍を取得していた猫にも問題が及んだ。しかも、4月15日のパリマラソンではブンティンが猫を上回る2時間23分29秒のカンボジア新記録を樹立。同国オリンピック委員会などを相手に法的措置に訴える可能性を示唆し、問題は泥沼化していた。

 国際陸連に対し、カンボジア側は「(猫は)09年からカンボジアに住み、ビジネスをしている」などと主張したが受け入れられず。特例の申請も認められず、7日付の文書で「国際競技会にカンボジア代表で出場できるのは今年10月以降」との最終判断を下された。

続きを表示

この記事のフォト

2012年5月9日のニュース