あと一歩で…さむらいジャパン44年ぶり五輪ならず

[ 2012年5月7日 06:00 ]

<日本・南アフリカ>後半9分、先制点を失って肩を落とすさむらいジャパンのメンバーたち

ホッケーロンドン五輪世界最終予選最終日 日本1-2南アフリカ

(5月6日 岐阜グリーンスタジアム)
 “さむらい”の夢が終わった。世界ランク15位の日本は優勝決定戦で同12位の南アフリカに1-2で敗れ、1968年メキシコ大会以来、44年ぶりの五輪出場を逃した。2点をリードされた後半29分に北里謙治(22=ALDER飯能)が得点を決め、さらに猛攻を仕掛けたが、あと一歩及ばなかった。史上初の男女アベック出場はならず、次回16年リオデジャネイロ大会で再び夢に挑む。

 残り2分の攻防に、44年間の思いを凝縮させた。1点ビハインドの日本はGKをベンチに下げ、11人全員で相手ゴールに襲いかかった。しかし、起死回生を狙った川上のシュートはGKに阻まれ、タイムアップのブザーに全員が崩れ落ちた。

 「相手が一枚上でした。こういう大きな試合で決めるのが自分の仕事なのに…。悔しい」。不発に終わった長沢が天を仰いだ。予選リーグ全5試合で7得点を決めたエースも、五輪に王手をかけた重圧で普段の動きが出せない。後半に2点を先行され、倍加する焦り…。5本得たPC(ペナルティーコーナー)から1点も奪えず、北里のシュートで一矢報いるのが精いっぱいだった。

 「女子が勝ってたんで、続きたかったんですけど…」と唇をかんだ長沢は前日、「さくらジャパン」の歓喜を宿舎のテレビで観戦した。3大会連続出場で、実績も知名度も“女性上位”のホッケー界。かつては「(人気を)ひがんでいた」と振り返るが、素直に勝利を喜びその感情を44年ぶりの悲願達成のエネルギーに変えていた。

 しかし、男子の団体球技では最も長く五輪から遠ざかっている負の歴史を今回も断ち切ることはできなかった。それでも、エースの気持ちの切り替えは早かった「決定力の差があった。そこをレベルアップしないといけない」。前髪とえり足だけを茶色に染めた自称チャラ男。「次は48年ぶりの出場で、自分が決めて1面を飾りますよ」。リオデジャネイロへ持ち越された「さむらい」の夢。重い扉を開くのは、長沢の使命だ。

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