太田“手の内隠し”3位 団体戦ライバルの中国選手に惜敗

[ 2012年4月24日 06:00 ]

延長の末に惜しくも敗れ、決勝進出を逃した太田(右)

フェンシング アジア選手権第2日

(4月23日 和歌山ビッグウエーブ)
 男子フルーレ個人戦で、北京五輪銀メダルで世界ランキング17位の太田雄貴(26=森永製菓)は準決勝で同20位の黄良財(ファン・リャンシャイ)(中国)に延長の末、14―15で惜敗し、3位に終わった。3年ぶりの優勝はならなかったが、日本が獲得した3枠の五輪代表入りが確実なエースはロンドン五輪に向けて手応えをつかんだ。25日の男子フルーレ団体戦で中国勢への雪辱を目指す。

 準々決勝まで相手を寄せ付けなかった太田だが、準決勝は手に汗握る展開となった。6―4のリードから一転、7―12と最大5点差をつけられた。第3セットでは11―14とマッチポイントを握られてから反撃に転じ、残り6秒で追いつき延長へ。過去2勝3敗の相手に一本勝負で敗れたが、表情には充実感があった。

 「取り組んできたことを試している大会。やってきた方向性は合っている」。本格的な筋力トレーニングを導入した冬場の強化練習が実を結んできたとあって手応えを口にした。昨年9月に左第4肋骨骨折で全治1カ月のケガを負い、日本選手権を欠場。復帰後の個人戦は、昨年10月の世界選手権で3回戦敗退、3月のW杯は1回戦敗退と結果が出ていなかっただけに「コンディションが悪い中で表彰台に立てたことはプラス」と前向きに捉えていた。

 中国はロンドン五輪で種目復活した男子フルーレ団体戦のライバル国。「日本は団体5位でメダルの狙える位置。中国に勝つことができたらチャンスはある」。それだけに、試合途中にはオレグ・コーチから「行くな」という“手の内隠し”とみられる指示も飛んだ。太田も「五輪に向けてのことだと思う」と察知。ロンドンを見据えた駆け引きで、全ては出し切らなかった。

 それでも、日本開催の大会で中国選手同士の決勝にさせたことには悔しさをにじませた。25日にはフルーレ団体戦、さらに28日開幕のW杯高円宮杯では個人戦が行われるだけに「借りを返したい」と奮起を誓った。日本のエースは徐々に技術と気持ちを高め、金メダルだけを目標にしている五輪に備える。

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