入江2大会連続五輪 100メートル背泳ぎで圧勝

[ 2012年4月5日 06:00 ]

男子100メートル背泳ぎ決勝で1位の入江はガッツポーズ

競泳ロンドン五輪代表選考会兼日本選手権第3日

(4月4日 東京辰巳国際水泳場)
 男子100メートル背泳ぎで、昨年の世界選手権銅メダリストの入江陵介(22=イトマン東進)が52秒91で優勝し、2大会連続の五輪出場を決めた。09年世界選手権金メダルの古賀淳也(24=第一三共)は54秒14の2位だったが、派遣標準記録に0秒05届かず五輪出場を逃した。女子100メートル平泳ぎでは鈴木聡美(21=山梨学院大)と松島美菜(21=セントラルスポーツ)がともに初の五輪切符。男女の200メートル自由形の上位各4選手が800メートルリレーなどの選考基準をクリアし五輪代表に決まった。

 敵は自分自身だけだった。入江は苦手のスタートで他と横一線に浮き上がると、すぐに抜けだした。トップで折り返し、得意の後半ではさらに後続を引き離した。2位に1秒以上の大差をつける52秒91は、高速水着禁止以降のタイムでは昨年のインカレで出した52秒83に次ぐ自己2番目の好タイム。絶対的な強さで五輪を決めた。

 「周りに“入江は堅い”と言われるのはプレッシャーだった。きょうもドキドキしていた。今は成長した自分を感じている」 

 重圧は感じても、押しつぶされることはなかった。4年前の北京五輪の代表選考会は「今でも一番嫌な大会」と振り返る苦い思い出だ。極度のプレッシャーに襲われ、100メートルは本来の力を出せずに3位で泣いた。得意の200メートルしか五輪切符を取れなかった。

 4年前の弱々しさはもうない。世界選手権で2大会連続銀メダルの200メートルだけでなく、昨年は苦手の100メートルでも銅メダルを獲得。1位とは0秒22差で「100メートルの方が金メダルに近くなった」と自信を深めた。

 100メートルのレベルアップのため、週2回の筋力トレーニングで肉体強化。体重は昨夏より2キロ増で自己最重量の65キロ。パワーをつけてスピード強化を図った。苦手のバサロも強化し、以前は国内でもスタートで負けていたが、トップと互角の力をつけた。

 もう200メートルだけの選手ではない。「昨日の(北島)康介さんの日本記録に続きたかった。きょうのタイムには満足していない」と反省する姿も頼もしい。社会人になったばかりの背泳ぎのエース。平泳ぎのエース北島康介とともに100メートルと200メートルの2種目で金メダルを狙っていく。

 ◆入江 陵介(いりえ・りょうすけ)男子100メートル、200メートル背泳ぎの日本記録保持者。08年北京五輪は200メートルで5位。世界選手権は09年が200メートル2位、100メートル4位、11年は200メートル2位、100メートル3位。近大出、イトマン東進。1メートル78、65キロ。22歳。大阪府出身。

続きを表示

2012年4月5日のニュース