真央3回転半また失敗で6位「何をしていたのかなあ…」

[ 2012年4月2日 06:00 ]

冒頭のトリプルアクセルは1回転に。それでも気を取り直して演技を続ける浅田だったが他のジャンプも…

フィギュアスケート世界選手権最終日

(3月31日 フランス・ニース)
 跳べない真央が散った。ショートプログラム(SP)4位の浅田真央(21=中京大)はフリーでも6位の105・03点にとどまり、合計164・52点の6位に終わった。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が1回転半となり、フリーと合計は五輪を含めた世界大会での自己ワーストスコア。鈴木明子(27=邦和スポーツランド)が180・68点で銅メダルを獲得し、村上佳菜子(17=中京大中京高)は175・41点で5位、カロリーナ・コストナー(25=イタリア)が189・94点で初優勝した。

 そっと目を閉じた。満足感からは程遠い演技で、SP4位から逆襲できず、2年ぶりの金メダルどころか、昨季と同じ6位に沈没。フリーと合計のスコアは、世界大会の自己ワーストだ。さえない表情で観衆の拍手に応えた浅田は、「力を出し切ることができなかった。やってきたことを出したかったんですけど。何をしていたのかなあ…」と目を潤ませた。

 かたくなにこだわった大技の失敗が全てだった。ニース入り後、55回のトライで1度も成功がなかったトリプルアクセル。フリーの冒頭、56回目のアタックも1回転半の失敗ジャンプに終わった。佐藤信夫コーチは「今回は彼女の気持ちを大切にした。(トリプルアクセルを)取り上げると(浅田の)テンションが下がるから」と説明したが、序盤のつまずきを取り返せない。後半もジャンプでミスを連発した。

 日本で調整しているときは絶好調だった。調子が急降下した原因について浅田は「分からない」と話し、佐藤コーチは「力みですかね」と説明した。浅田は言い訳を口にしないが、「こっちの氷が合わなかった」と指摘する関係者もいる。昨季から佐藤コーチに師事し、ジャンプを1回転から見直してきた。修正に手応えを感じる一方で、「変わってきてるけど、本番直前になると昔の顔になる時がある」と佐藤コーチ。昨年12月に最愛の母・匡子(きょうこ)さん(享年48)を亡くす悲劇を乗り越えて立った大舞台のリンクで、厳しい現実に直面した。

 今大会は日本人最下位で、世界ランクでも鈴木、村上より下位。国別対抗戦(4月19日開幕、国立代々木競技場)の代表入りは微妙で、悪いイメージを残したままシーズンが終わる可能性がある。失意のフリーから一夜明けた1日、浅田は「まずは自分がどうしたいのかっていうのをしっかり見つけるのが大事。今の状態からでも、どんどん上げていけば、2年後には100点以上のものになる」と話した。目標のソチ五輪まで、あと2年。ジャンプの天才だった元女王が、闇の中で光を追い求めている。

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2012年4月2日のニュース