白鵬「意地というのがあった」自身初の千秋楽逆転Ｖ

優勝決定戦で鶴竜を下し、ほっとした表情で花道を引き揚げる白鵬

大相撲春場所千秋楽

（3月25日 大阪府立体育会館）
　横綱の意地だけは消えなかった。鶴竜が敗れて２敗で並んで迎えた結びでは、左足親指と左足首の痛みを抱えながら把瑠都を圧倒した。優勝決定戦では２連敗中の鶴竜のスピードを殺し「意地というのがあった」。千秋楽逆転優勝は自身初。一人横綱になってから２場所続けて賜杯を他の力士に譲ったことはない。燃えないわけがなかった。

　先場所悪化させた古傷の左足親指が完治していない上、６日目に古傷の左足首をひねった。「どうなるかと思った」。何とか白星を重ねたが、１３日目の稀勢の里戦で完敗。紗代子夫人はテレビで見て「ショックそうな顔だった」と一人で新幹線に飛び乗り、激励に向かった。何も連絡をしていないのに横綱は「（心配して）来てるだろう」と夫人に電話。以心伝心の夫人の援護でピンチを乗り切り、貴乃花に並んで史上５位となる２２度目の優勝を果たした。

　２年ぶりの大阪。初日の３月１１日は２７歳の誕生日であり東日本大震災からちょうど１年。「昨年は大変な年だったけど、こうしたいいことが起きればいい。当たり前のことをやって、みんなを引っ張っていきたい」。第一人者の重い言葉だった。