把瑠都の綱獲り消滅…3敗目喫し「負けた気持ち」

[ 2012年3月23日 06:00 ]

琴奨菊(左)に寄り倒され、土俵下に落ちる把瑠都

大相撲春場所12日目

(3月22日 大阪府立体育会館)
 把瑠都の綱獲りが事実上、消滅した。琴奨菊との大関対決で一方的に寄り倒され3敗目。2場所連続優勝が遠のき、場所後の横綱昇進が絶望的となった。白鵬は琴欧洲を右上手出し投げで退け、大関獲りの鶴竜は翔天狼を寄り切り、ともに11勝1敗でトップ。ただ一人、日馬富士が2敗を守り、3敗は把瑠都、豪栄道、翔天狼の3人。

 現実を受け止められずに把瑠都は下を向き、首をひねり、花道を引き揚げた。支度部屋の風呂に入って気持ちを整えても、後悔の気持ちは消えない。報道陣に囲まれると質問を遮るように「ダメです」。口を真一文字に結び、「場所が終わりに近づいてきて、どうしてもいろんなことを考えた…」。帰り際には「負けた気持ち」と漏らした。

 前日、琴欧洲に敗れて崖っ縁に立たされた。負けられない重圧。それが、立ち合いにも影響した。「ちょっとなんか中途半端。体動いてないもん」。右の上手を取りにいったが、体勢の低い琴奨菊に深く両腕を差され、ぐんぐん圧力をかけられた。棒立ちの状態から土俵際で両上手を握ったが時すでに遅し。綱獲り終戦を象徴するかのように背中から土俵下に崩れ落ちた。

 横綱審議委員会(横審)の内規には昇進の条件として2場所連続での優勝か、それに準ずる成績と定められている。残り3日で白鵬、鶴竜とは2差がつき、連続優勝は事実上消滅。横審の鶴田卓彦委員長も「3敗はダメ。勝負の世界は厳しい」と突き放した。初めて賜杯を抱いた初場所以降、出稽古は一度もなし。2月にはエレナ夫人の故郷ロシアに旅行し、春場所前には後援会の都合で東京に戻って優勝祝賀会に出席。相撲に集中できなかったことが終盤の失速を招いた。

 場所後の昇進は絶望的だが、審判部の松ケ根副部長(元大関・若嶋津)も「来場所のためにも残り勝つしかない」とエール。北の湖理事長(元横綱)は「内容で何一つ良いところがない」と酷評した一方で「毎場所チャンスは来る」と背中を押した。綱獲りをかけがえのない経験にするためには、残り3日間で意地を見せるしかない。

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2012年3月23日のニュース