“男道”加瀬加奈子 悲願の五輪へ…「落車の恐怖」に立ち向かう

[ 2012年3月21日 07:03 ]

モットーは「男道」と話す加瀬加奈子。それでも心優しき女性アスリートだ

「夢のバンクを駆け抜けろ~ガールズケイリン加瀬加奈子~」

(NHK BS1 21日午後9時~)
 ロンドン五輪切符獲得のために、ライバルと戦い、記録と戦う…。そして、自転車トラック競技の加瀬加奈子(31)は、さらに「恐怖」という見えない敵との戦いを続けている。

 7月に始まる女子競輪の養成学校1期生。タイムトライアルでは常にトップの成績を残し、五輪強化指定選手に抜てきされた。

 世界レベルの脚力、周囲の期待…。そんな中迎えた昨年11月のカザフスタン・アウタナで行われたW杯第1戦。五輪出場は7つの国際大会の総合成績で決まるが、その大事な初戦で加瀬は落車し、鎖骨骨折に見舞われた。はじめの一歩でよもやのアクシデント。「落車への恐怖」という試練が始まった。

 トラック競技で必要な駆け引き。経験の浅さもあるが、何より落車を怖がり、なかなか仕掛けるタイミングを作れない。1月に行われたW杯第3戦の北京大会では、心の甘さを克服できず惨敗。骨折の傷は癒えたが、心のダメージを払拭することができないでいた。

 モットーは「男道」。短髪で陽に焼けた端正な顔立ち。男気あふれる加瀬だが、女手ひとつで育ててくれた母親に飛躍を誓う、心優しい女性アスリートだ。

 番組を担当した小林孝史ディレクターも「明るく誰からも愛されるキャラクター。取材していても気持ちいい。競輪学校では人を引っ張るリーダーシップに長け、逆境になればなるほど、力を出してくれそうな魅力を持っている」と証言する。再起を懸けた2月のアジア選手権(マレーシア)。車間を詰めて勝負する場面もみられるなど、次のステージへ進む兆しは見えている。

 「男道」を地でいく負けん気で、ロンドンというゴールに向けて恐怖と対峙する。NHK BS1では21日午後9時から「夢のバンクを駆け抜けろ~ガールズケイリン加瀬加奈子~」と題し、壁に立ち向かう自転車界のシンデレラガールの挑戦を追う。

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