平成生まれ関取1号・高安5連勝!平幕でただ1人全勝

[ 2012年3月16日 06:00 ]

高安(左)は突き出しで松鳳山を下し、無傷の5連勝

大相撲春場所5日目

(3月15日 大阪府立体育会館)
 平成生まれで初めて関取に昇進した新鋭・高安が平幕で唯一の初日から5連勝を飾った。立ち合いから激しい突っ張りを繰り出し、入幕3場所目の松鳳山を土俵外に突き出した。22回目の優勝を狙う白鵬と、大関獲りを狙う鶴竜も勝利を収めて全勝をキープ。前日に鶴竜に敗れた綱獲りの把瑠都は栃乃若を圧倒し、序盤を4勝1敗でクリアした。
【取組結果】

 平成世代をけん引する“新人類”が優勝争い参戦に名乗りを上げそうな勢いだ。22歳の高安が6歳年上の松鳳山との激しい突っ張り合いを制して平幕で唯一の5連勝。「体が動いている」「反応できている」「安定しています」。怖いもの知らずの若武者が発するコメントは自信で満ちあふれている。

 細かい突っ張りを武器に、前に出る相撲を身上とする平成2年生まれ。昨年11月の九州場所前に急死した先代鳴戸親方(元横綱・隆の里)が育てた愛弟子だ。茨城の土浦第一中学時代は野球少年だったが、相撲好きの父・栄二さんの勧めで鳴戸部屋に入門。角界一と呼ばれる厳しい稽古を耐え抜き、入門6年目にして平成生まれ初の関取に昇進した逸材だ。

 10年九州場所に十両に上がって以来、鳴戸部屋伝統のえんじ色の「締め込み」を締めていたが、今場所から後援者が贈呈してくれた深緑色に一新。「色は自分で決めました。先代も現役時代に使った色です」。天国にいる恩師の思いを乗せ、土俵に上がっている。

 日常の楽しみはラーメン店巡り。最近気になっているのは、しこ名と同じ京都の名店「高安」で「おいしいらしいので巡業があれば行きたい。めったにない同じ名前なので、懸賞とか出してくれないかな?」。同じ茨城県出身の兄弟子・稀勢の里から「地味」とやゆされるが、その姿はちゃめっ気たっぷりの青年だ。

 父は数年前にがんを患い一時はレストラン経営を断念したが、高安の活躍に励まされ現在は地元・土浦で仕事に就いているという。「まだ場所は長い。集中を切らさないようにしたい」。全勝で並ぶ白鵬、鶴竜から主役の座を奪うことが最高の親孝行となりそうだ。

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2012年3月16日のニュース