大砂嵐、快勝デビュー!高校総体16強を圧倒すくい投げ

[ 2012年3月14日 06:00 ]

アフリカ大陸初の力士として、初土俵を踏んだ大砂嵐

大相撲春場所3日目

(3月13日 大阪府立体育会館)
 アフリカ大陸初の力士となったエジプト出身のアブデルラフマン・シャーラン改め大砂嵐(20=大嶽部屋)が前相撲で初土俵を踏み、待望のデビューを白星で飾った。昨年の全国高校総体で16強入りした福里(18=九重部屋)を豪快なすくい投げで倒した。横綱昇進を目指す大関・把瑠都は平幕・妙義龍を一方的に押し出し、栃乃若を左上手投げで仕留めた横綱・白鵬とともに初日から3連勝とした。
【取組結果】

 不祥事が一段落した平穏な角界に“アラブの春”が到来した。ピラミッドと砂漠の国のエジプトから日本の国技に果敢に挑戦した、その名も「大砂嵐金太郎」――。午前8時40分から始まった前相撲の土俵にアフリカ大陸出身として“初上陸”すると、昨年の全国高校総体16強の福里にいきなり強烈な突っ張りを浴びせた。その後、右からすくい投げを放つと相手は豪快に1回転。「エキサイティング。グレート!きょうは(力士としての)本当の誕生日」。勝負後の一礼を忘れて行司にやり直しを命じられたのは、ご愛きょうだ。

 故郷エジプトでは大学生として会計学を学んでいたが、知人の影響で16歳に始めた相撲を捨てきれず、昨年8月に来日。数部屋で体験入門した末に大嶽部屋への入門が決まると、11月の九州場所から同行。興行ビザを取得できた今場所でデビューする運びとなった。

 信仰する宗教はイスラム教。1日5回のお祈りは毎日欠かさず、豚肉は口にしない。それでも、師匠の大嶽親方(元十両・大竜は)は「トンカツの時はチキンカツを作るし、ちゃんこが豚の時は他のものを食べさせる」と問題がないと強調した。7月下旬から約1カ月間は日の出から日没まで飲食ができないラマダン(断食)の期間に入る。今年は名古屋場所終盤戦と日程が重なるが、日本語を勉強中の大砂嵐は「ノーフード、ノーイート。バット、ノープロブレム」と平然と言い放った。

 交流サイト・フェイスブックで公式ページをつくって近況を世界に発信しているが、その理由を「相撲の素晴らしさを正しく理解してほしい」と流ちょうな英語で説明。そんな、相撲を愛してやまない20歳の夢はもちろん「横綱」だ。

 ◆大砂嵐 金太郎(おおすなあらし・きんたろう=本名・アブデルラフマン・シャーラン)1992年2月10日、エジプト・カイロ生まれの20歳。16歳から相撲を始め、08年に国内の無差別級王者に。エストニアで行われた同年の世界ジュニア選手権で無差別級3位。昨年の同大会でも重量級(100キロ以上)で3位。趣味は水泳、乗馬、パソコン。1メートル89、138キロ。

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