宗猛氏 藤原新にあった「マラソンのプロ」の自覚

[ 2012年2月27日 09:00 ]

<東京マラソン2012>銀座付近でキプロティチ(左)と競り合う藤原

東京マラソン

(2月26日 東京都庁発~東京ビッグサイト着の42・195キロ)
 ペースメーカーが離れた25キロでの藤原新の仕掛けは早いかと思われたが、最後までピッチが落ちなかった。第1グループから脱落する外国人選手たちを目標にして追う中で、うまくリズムを上げていった。2人を抜いたラスト2・195キロの粘りは驚異的だった。

 前半で第1グループについていかず、本当に強い走りをしなかったことに対する批判もあるかもしれないが、現在持っている力を十分に発揮した。2時間7分台で、トップに11秒差の2位は文句なしに評価できる。

 実業団を離れプロランナーとして活動しているが、実業団では駅伝をやりながら、マラソンもやる。どうしても駅伝に一度ピークを合わせなければならず、調整の難しさが残る。しかし、藤原新や市民ランナーの川内はマラソンのためだけに練習できる。狙った大会に合わせやすい。また、「マラソンしかない」と自分を追い込むことでモチベーションも高まる。

 さらに所属企業のない藤原新の場合は賞金の懸かるレースは生活に直結する。逃げ道がない。「マラソンのプロ」という強い自覚が好結果を生んでいる。どの環境が適するかは選手によるが、藤原新にとっては今の環境がうまく合った。

 走りはコンパクトで、無駄がない。年齢的にはあと2年ぐらいが勝負になる。しっかり準備して合わせることができれば、ロンドンでは今回の自分を超える可能性は十分ある。(旭化成監督)

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2012年2月27日のニュース