残り5ホールで3差逆転!遼 前週覇者下し2回戦進出

[ 2012年2月24日 06:00 ]

1回戦、18番でティーショットを放つ石川遼。左は対戦相手のビル・ハース

世界ゴルフ選手権シリーズ アクセンチュア・マッチプレー選手権第1日

(2月22日 米アリゾナ州マラナ リッツカールトンGC=7791ヤード、パー72)
 石川遼(20=パナソニック)が怒とうの巻き返しで1回戦を突破した。先週のトーナメントで優勝した世界ランク12位の実力者、ビル・ハース(29=米国)に一時は3ダウンと追い込まれたが、残り5ホールで4ホールを奪うミラクルで、1アップで逆転勝利。2回戦は全英オープン1勝のポール・ローリー(43=英国)と対戦する。タイガー・ウッズら32人が勝ち進んだが、世界ランク1位のルーク・ドナルドは敗退した。

 敗色濃厚の土壇場まで追い詰められた時、石川が覚醒した。残り5ホールで3ポイントのリードを許して迎えた14番パー4。残り160ヤードの第2打だった。力むことなく9Iを振り抜くと、40センチにピタリとつけた。相手のハースも「OK」と舌を巻く“認定”バーディー。「マッチプレーは一打で流れが変わる。相手のミスでなく、自分のショットで変えられた」。会心の一撃が大逆転へののろしとなった。

 72位に終わった前週のノーザントラスト・オープンでは改造中のスイングが狂った。それでも、「良い状態が続かないのは単に練習量」と連日、2時間以上も打ち込んだ。会場だけではない。「練習は楽しい必要がない。楽しくないことの繰り返し」と会場を出てもホテルに隣接するコースでストイックに打ち続けた。「あの(14番の)ショットは開き直ったのかもしれない。頭が真っ白になったら練習場のスイングができた」と無の境地になった時、体が勝手に動いた。

 15番でバーディーを奪って1ダウンとすると、17番では5メートルのバーディーパットをねじ込んだ。石川の気迫が1・5メートルにつけていたハースのミスを誘い、追いつくと、最終18番で手堅くパーセーブし逆転。米ツアー4勝のハースは米ツアーのポイントで競うフェデックスカップの昨年覇者。先週のノーザントラストOPを制し「今の状態は世界1、2位くらいだと思います」と石川も実力を評価していた。そんな強敵相手の勝利だけに「17番で彼の心を揺さぶるプレーができたのは信じられない」と興奮気味に振り返った。

 2回戦の相手は全英1勝のローリー。「最後の5ホールは非常に手応えがあった。やることは全く変わらない」。マスターズの出場権を得る世界ランク50位以内を確保するためには、できるだけ試合に出場してポイントを獲得する必要がある。今大会でベスト8以内なら出場を希望しているキャデラック選手権(3月8日開幕)も見えてくる。夢舞台に上がるまで、ここで満足するわけにはいかない。 

 ▼B・ハース 序盤からずっといいショットを打っていたのに終盤でバーディーが取れず、逆転の機会を与えてしまった。17番で短いパットを外し、最終ホールはひどいアイアンショットを打ってしまったのが敗因。

 【ラウンドVTR】1番で10メートル以上のロングパットを沈めてリードを奪った石川だが、その後はショットがちらばり、3、4番とバンカーにつかまって早くも逆転を許す。7番ではパットがカップに蹴られるなど、苦しい展開が続いて13番で3ダウンまで追い込まれる。残り5ホールでの挽回は難しいかに見えたが、14番で流れを変える一打を放って2ダウン。15番でも3メートルを沈めて1ダウンと一気に差を詰め、17番でついにオールスクエアに戻す。最後はハースがボギーを叩いてゲームセット。石川が最後の5ホール中4ホールを取る大逆転劇を見せた。

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