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時間差、クイック…ニッポンバレー築いた松平康隆さん死去

ミュンヘン五輪男子バレーボールで優勝し、選手に胴上げされる松平康隆監督=1972年9月

 バレーボールの男子日本代表監督として72年ミュンヘン五輪で金メダルを獲得した松平康隆(まつだいら・やすたか)氏が昨年12月31日午後0時21分、肺気腫のため東京都内の病院で死去した。81歳。葬儀・告別式はすでに近親者のみで済ませ、後日お別れの会を開く予定。指導者として速攻や時間差攻撃などの革新的な技術を開発。日本バレーボール協会会長を務め、日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化本部長、副会長まで歴任した。その訃報に、スポーツ界は深い悲しみに包まれた。

 ロンドン五輪イヤーを前に、スポーツ界の巨星が逝った。4年ほど前から肺気腫を患い闘病生活を送っていた松平氏が昨年12月31日に死去した。肺炎のため、年明けの1月3日まで入院する旨を電話で協会関係者に伝え「そういうことだから、よろしく」と話したのは12月28日だった。協会は5日、俊江夫人を通じて生前に伝えられた「バレーボール一筋に人生を終えられて非常に幸せでした。自分の人生でやりたいことは全部できましたし、思い残すことは何も無い人生でした」という故人の談話を発表した。

 慶応大から日本鋼管(現JFEスチール)に進み、選手として活躍。6人制バレーが採用された64年東京五輪に向け、61年にはソ連(当時)にコーチ留学。その東京では男子日本代表のコーチを務め、銅メダル獲得に貢献した。しかし、女子日本代表が金メダルを獲得し「東洋の魔女」ともてはやされると、生来の負けん気に火がついた。男子代表監督に就任した65年から徹底的強化を敢行。68年メキシコ五輪で銀、72年ミュンヘン五輪で悲願の世界一に輝いた。

 小柄な日本をトップに押し上げるため猛練習を課しただけでなく、全員に「フライングレシーブ」の習得をさせ「ウルトラ時間差」や「クイック」を生み出したアイデアマンでもあった。66年には当時小学校5年生だった長男が黒部ダムで滑落死する悲劇にも遭ったが、関係者に「これで、もう怖いものはなくなった」と漏らし、さらにバレーに没頭したのは有名。「犯罪以外はすべてやった」というミュンヘンへの準備段階では、テレビアニメ「ミュンヘンへの道」を監修し、バレー人気を急上昇させる手腕も見せた。

 現場を離れても、その才能と情熱は尽きなかった。79年に日本バレーボール協会専務理事、89年から会長。98年に日本人として初めてバレーボール殿堂入りし、00年には20世紀の男子世界最優秀監督に選ばれた。最近は車いす生活を余儀なくされていたが、昨年6月、現役時代から目をかけていた中垣内祐一氏が男子日本代表のコーチに就任すると、ミュンヘン五輪までの監督生活をつづった新聞記事のスクラップを送付して激励。昨秋のW杯の会場にも姿を見せ、植田辰哉監督に「常識の延長には常識の結果しか出ない。非常識の延長に、とてつもない結果がある」との持論を展開するなど、最後までバレーに愛情を注ぎ続けた。

 ◆松平 康隆(まつだいら・やすたか)1930年(昭5)1月22日生まれ、東京都出身。都立城南高―慶大。52年、日本鋼管入りし9人制バレーの監督兼選手として60年まで活躍。ソ連へのコーチ留学などを経て、65年に男子日本代表監督に就任。1メートル62と小柄ながら選手を鼓舞する姿を海外メディアは「小さなナポレオン」と呼んだ。72年ミュンヘン五輪後はブラジルやアルゼンチンなどを指導。また78年からはフジテレビのニュース番組のスポーツキャスターも務めた。JOCでは92年バルセロナ五輪時の選手強化本部長を務め、副会長も歴任。98年に日本人で初めてバレーボール殿堂入り。04年旭日中綬章を受章。07年東京都名誉都民に選出。

 ▽72年ミュンヘン五輪バレーボール男子VTR 日本の監督は松平康隆、主将は中村祐造。1次リーグB組の日本はルーマニア、キューバ、東ドイツ、ブラジル、西ドイツに全てストレート勝ち。5戦全勝でブルガリアとの準決勝に進出。2セット連取される苦しい展開だったが、驚異の逆襲で3―2で撃破。東ドイツとの決勝でも第1セットを先取されたものの、第2セット以降盛り返して3―1で初の金メダルを獲得した。

[ 2012年1月6日 06:00 ]

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