AON悲痛…ジャンボには“遺言”加圧トレ勧める

[ 2011年12月29日 06:00 ]

79年、よみうりオープン、ジャンボ尾崎(右)とのプレーオフを制した杉原氏

杉原輝雄氏死去

 杉原輝雄氏の訃報にAONもショックを隠しきれなかった。千葉県内の練習場で知らせを受けた尾崎将司は「長い間の闘病生活はさぞつらかったと思います。ゆっくりと眠ってください」とコメントした。尾崎がプロ野球選手からゴルファーに転向した当時、杉原氏は“黒船襲来”と表現した。大きな体、圧倒的な飛距離を持つ尾崎を目の当たりにした杉原氏は、長尺の1Wを導入するなど体格差を埋めるためにあらゆることを試した。

 もともと両肘を曲げ、ほうきで掃くようにしてボールを運ぶ変則打法。飛距離で劣る分、ショットの精度を磨いた。1Wで置いていかれても、得意のフェアウエーウッドで楽々とグリーンに乗せた。集中力も並外れていた。「アプローチはピンそばに寄せてやろうと気合を込めて打つ」「パットもカップにねじ込んでやろうとの気持ち」と話した。タイプの違う2人の対決はファンをクギ付けにした。

 尾崎は1年前から杉原氏に勧められた加圧トレーニングを取り入れている。今年5月には「(加圧トレを)やることがおっさんの“遺言”だと思っている。おっさんにも頑張ってもらいたい」とジャンボ流の言い回しでエールを送っていた。小さな体でゴルフ界を引っ張った先輩に「ゴルフに対する姿勢、偉業は誰もが認めるところ。人に勇気を与えるという点で、杉原さんは一番だった。ご冥福をお祈りします」としんみりと話した。

 闘病中、何度も会いに行った青木功は「若いころ、ゴルフの厳しさを教えてもらった。ケンカができなくなってしまってとても寂しい。杉原さんから“おまえら、頑張れよ”と言われている気がしている。ツアーで唯一の先輩がお亡くなりになり残念です。心から哀悼の意を表します」と語った。また、中嶋常幸は「偉大な先輩がまた一人逝ってしまって心から残念でたまりません。心からご冥福をお祈りいたします」との言葉を送った。偉大なる先輩を失った悲しみは深かった。

 ▼日本ゴルフツアー機構・小泉直会長 常に第一線でご活躍され、男子ゴルフ界を長きにわたりけん引されたと同時に、その与えた影響はあまりに偉大でした。大変残念でなりません。

 ≪名場面アラカルト≫
 ☆失格デビュー(58年関西オープン)ツアーデビュー戦は2日目のスタート時間を間違え、遅刻のため失格となった。

 ☆ツアー初優勝(62年日本オープン)千葉CC梅郷Cで橘田規、陳清波といった強豪選手との争いを制し、25歳の若さで初優勝を飾る。

 ☆会心の勝利(79年よみうりオープン)驚異的な強さを誇ったジャンボ尾崎とのプレーオフ。2ホール目に7メートルのバーディーパットをねじ込んで競り勝つ。

 ☆最年長予選通過(06年つるやオープン)通算4オーバーの53位で5年ぶりに予選突破。68歳10カ月で予選を通過し、国内ツアー最年長記録を更新。サム・スニード(米国)が持つ67歳2カ月の米ツアー記録をも上回った。

 ☆同一大会連続出場(10年中日クラウンズ)第1回大会からの51回連続出場で、アーノルド・パーマー(米国)の持つマスターズ50年連続出場を抜いて世界記録を更新した。2日目の11番パー4では、ツアー最年長イーグルも達成。

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2011年12月29日のニュース