浅見初V!ロンドンへのライバル福見に一本勝ち

[ 2011年12月10日 06:00 ]

<柔道グランドスラム 女子48キロ級>2位の福見(中)の横で表彰される1位の浅見(右)

柔道グランドスラム東京大会第1日

(12月9日 東京体育館)
 女子48キロ級決勝で世界選手権連覇中の浅見八瑠奈(23=コマツ)が福見友子(26=了徳寺学園職)に一本勝ちし、初優勝。最大のライバルに3連勝となり、ロンドン五輪代表に大きく近づいた。今年の世界選手権女王・中村美里(22=三井住友海上)が敗れる波乱があった同52キロ級は宮川拓美(17=小松大谷高)が高校生として初のグランドスラム制覇。男子60キロ級は山本浩史(21=日体大)が連覇。海老沼匡(21=明大)と森下純平(21=筑波大)の新旧世界王者が敗れた同66キロ級は高上智史(20=日体大)が制した。

 指導を先に与えられた押され気味の流れを、一瞬にして断ち切った。開始2分20秒すぎ。浅見の右足が福見の左脚を捉えた。そのまま押し込んで小外刈り一本勝ち。「どうやって掛けたかも覚えていないし、気がついたら上になっていた」という一撃に照れた23歳は「でも、試合自体は負け試合だったので、反省が多いです」と表情を緩めなかった。

 8月の世界選手権以来となる実戦は「いつもより緊張した」。準決勝は徹底的に組手を封じられ、旗判定で勝ち上がった。それでも動じないのが浅見の真骨頂だ。「危なかったなあと思う。みんな研究してきてるな、頑張ってるなと思った」。女王としての目線が、落ち着いた試合運びにつながり、全日本女子の園田監督も「悪いなりに勝った。地力がついた証拠」と評価した。

 10年が頭角を現した年なら、11年は飛躍の年だった。社会人1年目で世界中からマークされながら、世界選手権連覇。コマツの松岡義之監督は「ケガをしてないから体がすり減っていないし、オンオフの区別がつくからメンタル面もすり減らない」と強さの秘密を挙げる。周囲の指導についても「ピーンと自分に必要だなと思うものだけ取り入れる」のも、迷いなき成長を支えている。

 これでロンドン五輪代表争いの最大のライバル福見との対戦成績は4勝3敗。ここにきての3連勝に園田監督も「前回(世界選手権決勝)が有効で、今回は一本だし、頭一つ抜けた」と明言する。2人がそろって出場予定のマスターズ(1月、カザフスタン・アルマトイ)も制すればロンドンの“当確サイン”すら視界に入る。それでも「周りはどう見てるか分からないけど、自分は自分のペースでいきたい」と最後まで笑顔を封印した23歳が、歩みを止める気配はない。

 ▼福見 結果は結果なので受け止める。マスターズもある。(五輪を)諦めるということはない。目的を持って、最後までやりきる。

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