ロスタイム逆転!早大 亡き先輩に学んだ突進で早明戦制す

[ 2011年12月5日 06:00 ]

<早大・明大>後半25分、早大・金が倒されながらも腕を伸ばしてトライを決める

関東大学ラグビー対抗戦グループ 早大18―16明大

(12月4日 国立)
 伝統の早明戦は早大が明大に18―16で逆転勝ちした。後半ロスタイムにWTB原田季郎(3年)が逆転PGを決める劇的勝利で、対抗戦での明治戦50勝目(2分け35敗)を挙げた。早・明と筑波大の3チームが5勝2敗で並んだが、大学選手権(18日開幕)は早大が対抗戦グループ内全対戦の総得失点数差で2位扱いとなった。ワセダは08年度以来2回目となる対抗戦2敗からの大学王者を目指す。

 2万9341人が固唾(かたず)をのんで見守った。敵陣に攻め込んだ早大は15―16で迎えた後半ロスタイム、敵陣で明大のオブストラクションの反則からPGを獲得。原田が正面右中間約20メートルから逆転のゴールを狙う。左足でのキックはポストの中央を通過。スタンドからワセダファンの歓声が湧き上がった。「めちゃくちゃ緊張しました。外したら僕のせいで負けるので成功して安心しました」。同25分に同じ位置からのGKを外していた原田は胸をなで下ろした。

 明大の激しいプレッシャーから自慢のバックス陣の攻撃が封じられ、前半を3―13で折り返した。風上に立った後半は3、25分と早大らしい速い攻撃からトライを奪って逆転。11月3日の帝京大戦で2敗目を喫してから選手が練習後にミーティングを実施してきたのが功を奏した。辻高志監督(34)は「後半開始早々に(SH)西橋のタップキックを起点に原田のトライが大きかった。選手に自主性が出てきた」と満足そうに振り返った。

 10月23日に筑波大に33年ぶりに敗れてからチームは変わった。同29日に指揮官は早大ラグビー部OBでテレビ朝日カイロ支局長だった野村能久さん(享年37)の通夜に参列。リビアで取材のため事故死した先輩の遺影を前に「学生にも先輩のように前へ突進させます」と誓った。それからは練習中に「GO FW」を連呼し、FWに「前へ」を意識させた。逆転PGも相手のお株を奪うFWの突進で、反則を誘ったものだった。

 シーズン中盤に2敗したが、慶大、明大に連勝し息を吹き返した。現4年生が1年生だった08年は対抗戦2敗から大学選手権で巻き返して優勝。同選手権で順当に勝ち進めば帝京大と決勝で対戦する。3年前も帝京大に対抗戦で敗れたが、決勝で勝った。フランカー山下主将は「3年前の再現を果たしたい」と3連覇を狙う宿敵撃破を誓った。

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2011年12月5日のニュース