稀勢の里電車道で決めた!千秋楽黒星でも大関昇進へ

[ 2011年11月27日 06:00 ]

栃乃若を押し出した稀勢の里(左)

大相撲九州場所14日目

(11月26日 福岡国際センター)
 大関獲りの稀勢の里は平幕の栃乃若を力強く押し出し、10勝目。大関昇進の目安とされる直近3場所33勝にはあと1勝だが、昇進問題を預かる審判部の中では稀勢の里の相撲内容を評価する声も多く、場所後の昇進に大きく前進した。前日に21度目の優勝を決めた横綱・白鵬は大関・日馬富士を下し14戦全勝。千秋楽に単独1位となる9度目の全勝優勝を懸ける。

 崖っ縁の状況でも稀勢の里は自分を見失わなかった。今場所初の満員御礼となった館内からは大声援が送られ、升席上段には「稀勢の里 平常心」と書かれた横断幕も掲げられた。絶対に負けられないという重圧のなか、栃乃若を気迫で圧倒。力強い突き押しでがむしゃらに攻め立て、“顔じゃない(相手じゃない)”とばかりに23歳の新鋭を押し出し。無表情で花道を引き揚げてきた。

 「思いっきり出ました。(土俵際は)必死ですよ。10勝目?どうすかね。ま、分からない」

 これで昇進の目安となる3場所33勝まで残り1勝。しかし、協会内では既に昇進ムードが高まっている。審判部はきょう千秋楽の午前中に稀勢の里の昇進についての会議を開くことを決定。放駒理事長(元大関・魁傑)に昇進を審議する理事会の開催を要請すべきかを話し合う。三保ケ関副部長(元大関・増位山)は「目安にこだわる必要はない」と断言し、個人的な意見として「相撲っぷりも姑息(こそく)な手段は使わないし、思い切った相撲を続けている」と内容を評価していることを明かした。また中村副部長(元関脇・富士桜)も「数字にこだわるだけじゃないという意見を持つ人もいる」と話した。今場所を含めて最近6場所で5度の2桁勝利。横綱戦は3勝3敗。そうした成績を鑑みた上で、稀勢の里を“推す”委員も少なくない。

 とはいえ、ここ1年で全敗している琴奨菊を千秋楽で倒し、すっきりと大関の地位を手に入れたいところ。放駒理事長も「(千秋楽で)勝つに越したことはない。あと一番しっかり取ってほしい」と背中を押した。場所前に師匠の鳴戸親方(元横綱・隆の里)が急死するという激動の場所も残り1日――。稀勢の里は運命の日に向けて「思い切ってやるだけ。後悔しないように。気負う必要はない。自分の相撲を信じるだけ」と全精力を懸けることを誓った。

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2011年11月27日のニュース