白鵬21度目優勝…さあ双葉山超え9度目の全勝優勝へ

[ 2011年11月26日 06:00 ]

白鵬は琴欧洲を豪快な下手投げで破り、21度目の優勝を決めた

大相撲九州場所13日目

(11月25日 福岡国際センター)
 全勝の横綱・白鵬が大関・琴欧洲を下手投げで豪快に投げ捨てて、無傷の13連勝で2場所連続、通算21回目の優勝を決めた。13日目での優勝決定は、白鵬自身が制した昨年夏場所以来で、九州場所では歴代2位の5連覇を達成。白鵬の優勝により、両国国技館に掲示される幕内優勝力士の額は、全て外国出身力士のものになる。
【取組結果 星取表】

 主役はオレだ。現役最強力士が、優勝にふさわしい力感あふれる取り口で大喝采を浴びた。

 過去27勝7敗と圧倒している琴欧洲戦。立ち合いすぐに十分の形に持ち込みながら、2メートル3の長身で懐が深い大関を攻めあぐねた。左上手を切られ、相手に左上手を許す苦しい展開。しかし慌てず左を巻き替えて、もろ差しで体勢を立て直すと、格闘家の本能が目覚めた。「(相手の)脇があいてたんで、飛び込んで投げました」。相手の右脇をくぐり、右肩で相手の右脇を担ぐようにして左下手投げ。柔道の「すくい投げ」の要領で、自分の背後へ投げ捨てた。

 「下手投げ?分からない。何でもいい」。本人も説明できない投げ技のヒントは異種格闘技にあった。最近購入したiPadで、92年バルセロナ五輪柔道男子71キロ級金メダリスト古賀稔彦さんの試合や、モンゴル相撲の映像をチェックしていた。その効果もあり突然ひらめいたという。

 2場所連続21回目の優勝で、九州場所は千代の富士の8連覇に次ぐ歴代2位の5連覇。取組後、風呂で汗を流すうちにモンゴル相撲の横綱だった父・ムンフバトさんの顔を思い浮かべた。「親父も5連覇したんだった」と感慨に浸った。

 これで両国国技館の優勝額全てが外国出身力士のものになる。来年1月、日本人で唯一掲示されていた06年初場所の栃東(現玉ノ井親方)の優勝額が撤去され、白鵬の2枚が加わり、32枚中20枚が白鵬の額になる。

 13日目での優勝決定は昨年の夏場所以来で歴代2位の3度目。しかし、まだ今場所が終わったわけではない。「今年はいろいろあって全勝優勝がないですから。あれこれ考えず思い切って自分の相撲を取り切ります」。白鵬は双葉山、大鵬と並ぶ歴代最多の全勝優勝8回を記録している。あと2日。偉大な両横綱を超える9度目の全勝優勝で1年を締めくくる。

 ▼放駒理事長(元大関・魁傑)白鵬は抜群の安定感がある。肉薄する力士が出てきてほしい。(肉薄力士は)本当なら大関だけど、誰でもいい。優勝争いは決着したが、稀勢の里の大関獲りの話題が残っている。(大関昇進の話は)終わってみないと分からない。私は上がってほしいと思っている。

 ▼玉ノ井親方(元大関・栃東)(自身が日本人力士最後の優勝者のままで)日本人と外国出身力士ではハングリー精神が違う。日本人は技術的なものはあるし、稽古もしている。だんだん力的には外国出身力士に近づいてきているし、あとは気持ちの問題。日本人の優勝額がなくなるが、我慢して待つしかない。

 ▽優勝額 本場所の幕内優勝力士に対し、毎日新聞社から贈られる力士の肖像を描いた額。国技館の天井近くに合計32枚掲額される。1月、5月、9月の東京場所前に2枚ずつ古いものが取り外され、新しい優勝額が加えられる。優勝制度が制定された1909年から掲額されており、現在の大きさは縦3メートル17、横2メートル28。5月の技量審査場所は優勝額贈呈が自粛された。

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