体操女子が五輪切符!1メートル38寺本がデッカイ仕事

[ 2011年10月9日 06:00 ]

五輪出場が決まった瞬間、輪になって喜ぶ(手前から時計回りに)新竹、寺本、美濃部、鶴見、田中、飯塚、新竹

体操世界選手権第2日

(10月8日 東京体育館)
 15歳がロンドンへ導いた。女子団体総合予選が行われ、日本は合計223・543点をマークして5位。決勝進出の8カ国に与えられるロンドン五輪の出場枠を獲得した。3種目目の跳馬で飯塚友海(18=朝日生命)が演技直前に左足を痛めるアクシデントがあったが、代役を務めた寺本明日香(15=レジックスポーツ)がチーム最高得点タイでカバー。最年少が、窮地の日本を救った。

 歓喜の輪の中に、1メートル38の小さな体がすっぽりと隠れた。予選を5位で通過した日本女子が、08年北京五輪に続いて2大会連続の夢切符を獲得。平たんではなかったロンドンへの道を切り開いたのは、チーム最年少の15歳だ。「今はホッとしているのが一番です。夢を見ているみたい。これが現実だと思うと、凄くうれしい」。日本を救った寺本は、興奮気味にまくし立てた。

 平均台、床運動と安定した演技を披露して迎えた、3種目目の跳馬で悪夢が待っていた。この種目の得点源だった飯塚が、演技開始前の練習中の助走で転倒。車椅子で医務室へ運ばれ、出場予定のなかった寺本に急きょ出番が回ってきた。「緊張というより不安の方が大きかった」。揺れる精神状態は、チームメートの声や会場の歓声が落ち着かせてくれた。田中と並ぶチーム最高タイの13・966点をマーク。最終種目の段違い平行棒では大トリを務め、14・683点で種目別で決勝進出。平均台でもチームトップの14・366点を叩きだした。

 寺本自身も故障を抱えていた。昨年8月に左くるぶし下を剥離骨折し、今年の9月にも左足首を痛めた。「悪夢かと思った」。開幕直前の今月4日にようやく通しで練習ができるようになった。今でも痛み止めの薬は手放せない。この日も錠剤を1錠飲んで、懸命に演技。コンディションが整わない中で、窮地の日本を救った。

 5位で11日の決勝へ。「ギリギリ予選通過かなと思ったけど、5位までいって良かった」と塚原監督も納得の表情を浮かべた。五輪切符獲得の立役者になった15歳は、「(決勝でも)しっかり演技したい。自分の演技に集中して頑張っていきたい」と気合を入れる。一つでも上の順位を目指して、小さな体で奮闘する。

 ◇寺本 明日香(てらもと・あすか)1995年(平7)11月19日、愛知県生まれの15歳。レジックスポーツ所属。名古屋経済大市邨高1年。7歳から体操を始める。今年は全日本選手権個人総合5位、NHK杯同4位。得意種目は跳馬、段違い平行棒、平均台。1メートル38、32キロ

 ◆飯塚は切創 日本体操協会によると、跳馬の演技前に負傷した飯塚は左膝下を4針縫う切創。補欠の大島との入れ替えは、今後の状態を見て判断する。

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