遼、後半崩れ大混戦演出…それでも“吉兆ペアリング”

[ 2011年10月9日 06:00 ]

7番、イーグルパットを外し、舌を出して苦笑する石川遼

キヤノン・オープン第3日

(10月8日 神奈川・戸塚CC西コース=7168ヤード、パー72)
 石川遼(20=パナソニック)が苦しみながらも今季初優勝に王手をかけた。第3日としては大会史上最多となる1万2325人の大ギャラリーが訪れる中、4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの73と崩れながらも通算11アンダー、205でトップを守った。最終日を前に首位に4人が並び、ツアー7年ぶりとなる大混戦となった。
【第3R成績】

 ドライバーを振り抜くと、ボールは右の林を越え、練習場近くのOBゾーンへと落下した。最終18番。石川は小山内と並び13アンダーで首位を走っていたが、このホールはそろってダブルボギー。ホールアウト後に小山内に「(お互い)グダグダだねえ」と声をかけられると苦笑いで握手を交わした。課題のドライバーショットが後半に入って乱れ始め、最後に出たOB。「何で練習してきたことができないのかという思い。すごく悔しい。追い風で飛ばせると思って邪念が入った」と話し、「他の選手にチャンスを与えることになった」と振り返った。

 この日、訪れたギャラリーは1万2325人。会場が首都圏で交通の便がいい場所にある上、石川が前日単独トップになったこともあり、第3日としては今季2番目の集客となった。コース内では迷子が出たり、石川の組ではなかったが、密集していたギャラリーの打球事故も起きるなど“遼君フィーバー”ゆえのハプニングが続出。禁止されているカメラでの撮影も毎ホールで横行した。

 石川も“被害”に遭った。第1打を左ラフに曲げた13番パー5で石川は2度、アドレスを外した。本人は「ギャラリーが多くなればつきもの。集中すれば、どんなことがあっても気づかない。まだ集中しきれていないということ」と不平をのみ込んだが、リズムを乱したのは明らかで、7年ぶりに首位が4人に並ぶ大混戦の一因となった。

 ただ吉兆もある。最終組で迎える最終日は立山、久保谷と同組。2人と決勝ラウンドで回るのは15歳で初優勝した07年のマンシングウェアKSB以来で、「特に感じるものはないけど、(記者の)皆さんが運命と書くのは僕は嫌じゃないですよ」と結果的に幸運のペアリングとなった。失速で優勝争いは逆に面白くなった。この日以上の人出が予想される最終日。「ぜひともみんなと盛り上がりたい」。大ギャラリーの中、ツアーの主役が20歳最初の勝利をつかむ舞台は整った。

 ▼石川の初優勝VTR マンシングウェアKSBカップ(07年5月18~20日)は第1日が悪天候で中止となり3日間開催。当時アマチュアの石川は第2ラウンド終了時点で通算3アンダーで7打差の23位。ペアリングを変えず36ホールで行われた最終日は立山、久保谷と回り、12バーディー(3ボギー)と猛チャージ。通算12アンダーまでスコアを伸ばし、15歳245日の史上最年少優勝を飾った。

 <第3日最多の観客>1万2325人のギャラリーは第3日では昨年の7674人を上回る大会史上最多。今季男子ツアーでは全体で4番目(最多は東建ホームメイトカップ最終日の1万9021人)。第3日では中日クラウンズの1万4996人に次ぐ集客。

 <最終日4人トップは7年ぶり>最終日を前に首位に4人が並ぶのは04年ミズノ・オープン以来7年ぶり。石川が最終日を前に首位を迎えるのは過去11度あり、うち5回優勝。なお昨年のキヤノン・オープンも首位から出て横田に優勝を奪われた。

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