福島・双葉町民23人招待…白鵬“特別な1勝”

[ 2011年9月18日 06:00 ]

福島県双葉町の人たちと一緒に記念撮影にのぞみ、一同の万歳に笑顔を見せる白鵬

大相撲秋場所7日目

(9月17日 東京・両国国技館)
 横綱・白鵬が被災者にささげる勝利を挙げた。福島第1原発事故の被害に遭った福島県双葉町の町民23人を招待。その前で小結・豊ノ島をはたき込み、初日から7連勝とした。白鵬と優勝争いのトップに並ぶ両関脇は、琴奨菊が隠岐の海を寄り切り、稀勢の里も関脇同士の一番で鶴竜を力強く押し出してともに無敗をキープ。全勝は3人で変わらず、1敗は平幕の栃煌山と臥牙丸の2人となった。
【取組結果】

 被災者のため、白鵬にとっては負けられない一番だった。立ち合い鋭く踏み込むと、タイミング良く豊ノ島をはたき込んで初日から7連勝。取組後には招待していた福島県双葉町の町民23人と記念撮影を行い「本当に喜んでいる顔だった。来てるときに勝てて良かった」と安どの表情を浮かべた。

 6月、福島第1原発事故で被害を受けた双葉町民が集団避難する埼玉県加須市の旧騎西高校の避難所を訪れ、町民一人一人と握手した。その際に自身の公式応援歌「天運」のCDの収益を利用して国技館に招待することを約束した。そして、この日「白鵬シート」23席を確保し約束を守った。

 被災者から「優勝をお願いします」「応援しています」と声をかけられた白鵬は笑みを返した。区切りの20度目の優勝に向けて新たなモチベーションが生まれた。

 元幕内の歌手・大至とシンガー・ソングライター・小田純平が歌う「天運」には強い思い入れがある。CDのジャケットは稽古中の白鵬の写真。東日本大震災が起きた3月11日に撮影したものだ。曲を聴くと、26度目の誕生日でもあった“あの日”を思い出す。3月11日を「絶対に忘れられない」という白鵬は、場所入りの車の中で聴き続け、いまではカラオケの十八番となった。その「天運」が結んだ被災者との絆もまた横綱にとって大切なものになった。

 琴奨菊、稀勢の里の両関脇とともに連勝街道を併走する。この日は今場所初めて満員御礼が出た。「歓声が大きかったね。関脇が活躍する場所は面白いと言いますから」と余裕も漂わせた。誰かのために勝ち続ける。7つ目の白星は特別な1勝になった。

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