仕切り直しの大関獲り…琴奨菊「笑って終われるように」

[ 2011年8月30日 06:00 ]

大相撲秋場所で大関とりに挑む関脇琴奨菊

 日本相撲協会は29日、秋場所(9月11日初日、両国国技館)の新番付を発表し、大関・魁皇の引退で大関以上に日本人力士が不在となった。大関以上が外国勢だけになるのは、曙、小錦の2大関だった93年初場所以来2度目。日本人大関の誕生が叫ばれる中、関脇・琴奨菊(27)が千葉県松戸市内で会見し、仕切り直しの大関獲りに意欲を見せた。終盤で崩れた名古屋場所の失敗を糧に、メンタル面を徹底強化し、勝負の秋に臨む。

 緊張で若干顔がこわばっていた2カ月前の名古屋場所前の会見とは別人のようだった。大関獲りに失敗したというのに、琴奨菊は会見中、笑みを絶やさなかった。「今後の相撲人生の中で、名古屋場所があったから良かったと言えるようにチャンスをものにしていきたい」といつになく前向きな言葉を口にすると、「皆さん、鶴竜にもたくさん重圧をかけてください」とジョークで締める余裕も見せた。

 大関獲りが懸かった名古屋場所は11日目に白鵬を破り、昇進は目前と思われていた。しかし、13、14日目に平幕力士に連敗し昇進の目安とされる3場所通算33勝に1勝及ばなかった。琴奨菊は「横綱を倒したら変に意識してしまった。一つ勝つごとに大きなプレッシャーがかかり、自分で自分を苦しめていた」と振り返った。そして夏場は立ち合いの修正に加えメンタル面の強化に着手した。有名スポーツ選手のサクセスストーリーに関する書物を読みあさる一方、日常生活でも穏やかに振る舞うことを心掛けている。

 地元・福岡の英雄だった魁皇が名古屋場所中に引退。この日、発表された新番付では18年ぶりに横綱、大関から日本人力士が消えた。周囲の待望論も高まる中「稀勢の里、豊ノ島も“自分が”という思いは持っている。人一倍頑張って恩返ししたい」と責任は感じている。仕切り直しの秋場所は12勝以上がノルマとなるが「15日間、自分らしい相撲を取り切って、笑って終われるように頑張りたい」と笑う。その開き直りが秋場所での“変身”を予感させる。

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2011年8月30日のニュース